
日本オペラ振興会2026/27シーズン・ラインナップ発表

イタリア歌劇を主とする藤原歌劇団と日本歌劇を主とする日本オペラ協会が合体して設立された公益財団法人日本オペラ振興会。11月5日に都内で会見を開き、2026/27シーズンのラインナップを発表した。

1941年12月創刊。音楽之友社の看板雑誌「音楽の友」を毎月刊行しています。“音楽の深層を知り、音楽家の本音を聞く”がモットー。今月号のコンテンツはこちらバックナンバ...
二つの日本オペラを新制作
日本オペラ振興会は、2026年11月に團伊玖磨《夕鶴》、2027年1月に水野修孝《天守物語》、同年3月にプッチーニ《蝶々夫人》を上演する。藤原歌劇団の創設者である藤原義江の没後50年にもあたる2026年。「日本独自のオペラを海外に広めたい」思っていた彼の意志を継ぐように、《夕鶴》と《天守物語》は新制作だ。
《夕鶴》の指揮を担う星出豊は生前、作曲家の團から直伝を授かっていた。
星出「團先生は『君のニュアンスがすばらしいから楽譜に追加したい。これを誰かが表現してくれるかわからないけれど、君にはこの演奏スタイルを続けてほしい』とおっしゃってくださいました。今回すばらしいキャストがそろいましたので、ぜひそれを再現したいと思います」
「鶴の恩返し」に基づいた物語《夕鶴》。主人公である“つう”を演じるのは、めざましい活躍をみせるソプラノ歌手の伊藤晴と芝野遥香。
伊藤「最初につうを演じたのは、まだ若手だった8年前。それから様々な経験をし、音楽や演技など豊かな表現が以前よりできるようになっていると思います。緻密な音楽と言葉の描写が求められる重要な役を稽古でさらに磨きをかけ、みなさまにお届けできたらと思っています」

©公益財団法人日本オペラ振興会
泉鏡花の幻想文学をもとにした《天守物語》は、白鷺城(姫路城)の天守閣にまつわる伝説をもとに、天守の最上階に棲む美しく気高い天守夫人・富姫と、若き鷹匠・姫川図書之助の至上の恋が描かれる物語。日本オペラ協会が1979年に初演して以来たびたび取り上げる秀作である。今回、富姫には佐藤美枝子 と小林厚子、図書之介 には須藤慎吾と村松恒矢といった実力派の歌手たちが並ぶ。
須藤「以前から機会があれば挑戦してみたいと思っていた図書之介役。念願が叶って歌わせていただきます。男前で難しい役。勇ましい武士と人間味ある部分を自分なりに解釈し、新しいオペラとして創り上げたいと考えています。以前観たことがあるかたも、泉鏡花の物語を知らないかたも、ぜひ観にきていただきたいと思います」

©公益財団法人日本オペラ振興会
また、2027年3月には新宿文化センターのリニューアルを記念して《蝶々夫人》を上演。伝説の演出家・粟國安彦から受け継がれる美しい舞台装置をそのまま使用し、息子の粟國淳演出、柴田真郁による指揮でおくる。
日程:2026年11月27・28・29日
会場:日生劇場
演出:粟國淳
出演:星出豊(指揮)、新日本フィルハーモニー交響楽団、伊藤晴、芝野遥香(以上つう)、澤﨑一了、松原陸(以上与ひょう) 、他
日程:2027年1月9・10日
会場:昭和女子大学人見記念講堂
演出:中村敬一
出演:園田隆一郎(指揮)、東京フィルハーモニー交響楽団、佐藤美枝子、小林厚子(以上富姫)、須藤慎吾、村松恒矢(以上図書之介)、小林沙羅、別府美沙子(以上亀姫)、他
日程:2027年3月6・7日
会場:新宿文化センター大ホール
演出:粟國淳
出演:柴田真郁(指揮)、東京フィルハーモニー交響楽団、砂川涼子、 迫田美帆(以上蝶々夫人)、笛田博昭、海道弘昭(以上ピンカートン)、上江隼人、岡昭宏(以上シャープレス) 、他
問合せ:日本オペラ振興会
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