
伊藤悠貴と阪田知樹がホテルオークラ音楽賞を受賞
将来が期待される若手音楽家を顕彰する「ホテルオークラ音楽賞」の第27回(2025年度)受賞者が発表され、チェロの伊藤悠貴、ピアノの阪田知樹に決定した。
同賞は1996年、ホテルオークラ東京の創業35周年を機に創設されたもので、その年に顕著な活躍を見せ、将来が期待される若手音楽家を顕彰する奨励制度。受賞者には奨励金100万円のほか、記念トロフィーとオークラ東京のペア宿泊券が贈られる。
第27回 受賞者
伊藤悠貴 チェロ

伊藤悠貴さんはブラームス国際コンクールやウィンザー祝祭国際弦楽コンクールで優勝、イギリスのウィンザー城でフィルハーモニア管弦楽団との共演でデビューして以降、国際的な活躍の場を広げてきた。その活動で特に評価したいのは、華々しいスター路線に走るのではなく、独自の道を掘り下げる地道な姿勢を貫いている点である。そのことは彼の奏でる音楽にもはっきりと現れていて、優れた演奏技術を持ちながらもそれをひけらかすことなく、作品そのものの美質をじっくりと追求することを重んじている。一般にあまり演奏されることのないイギリスのチェロ作品の紹介に努めていることや、ラフマニノフに関してチェロ作品だけでなく歌曲を中心とする様々な作品を研究して作曲家の本質に迫るなど、学術的な探求心を自らの演奏に生かしていることも、そうした彼の姿勢の現れといえるだろう。今後ますますの大成をめざして自らの道を究め続けていくことを期待したい。
寺西基之(音楽評論家)
阪田知樹 ピアノ

阪田知樹さんはブダペストのフランツ・リスト国際ピアノコンクールでの優勝やエリザベート王妃国際コンクール第4位など、名だたるコンクールで輝かしい成績を収めて早くから類い稀な才能が注目されたが、その後 さらに自身のピアニズムを進化させて、今や若くして日本のピアノ界を牽引する存在となっている。いかなる難曲でも完璧にこなす圧倒的な技巧、多彩なパレットから生まれる表現力の幅の広さはひときわ異彩を放っていて、“現代のヴィルトゥオーゾ”と呼ぶに相応しいものがあるが、その演奏は決して恣意的なものにならず、作曲家や作品に対する深い洞察と演奏 スタイルや奏法についての探求に裏打ちされているので、きわめて強い 説得力を持っている。最近はピアノ演奏にとどまらず、作曲や指揮の活動にも積極的に乗り出すなど、表現者としての自らの領域をさらに大きく拡大しつつあり、これから彼が自身の可能性をどこまで広げていくのか楽しみでならない。
寺西基之(音楽評論家)
授賞式および記念演奏会は、3月23日、オークラ東京で開催される。
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