連載
2025.03.05
3月のオペラ・コンサート予想/2月のオペラ・コンサート報告

【音楽が「起る」生活】読響とN響の演奏会形式オペラ、シフの親密な室内楽、他

音楽評論家の堀内修さんが、毎月「何かが起りそう」なオペラ・コンサートを予想し、翌月にそこで「何が起ったのか」を報告していく連載。3月は、読売日響の《ヴォツェック》演奏会形式とN響の《パルジファル》演奏会形式、シフ&カペラ・アンドレア・バルカおよびベルリン・フィルのメンバーによる室内楽を予想。2月の結果報告は、新国立劇場《カルメン》と藤原歌劇団《ファルスタッフ》、インバル指揮都響、そして番外編としてウィーンにおける2つの《ノルマ》上演の5つです。

堀内 修
堀内 修 音楽評論家

東京生まれ。『音楽の友』誌『レコード芸術』誌にニュースや演奏会の評を書き始めたのは1975年だった。以後音楽評論家として活動し、新聞や雑誌に記事を書くほか、テレビやF...

左からクリスティアン・ゲルハーヘル ©Gregor Hohenberg、マレク・ヤノフスキ ©Felix Broede、カペラ・アンドレア・バルカ ©GM Márcia Lessa、サイモン・キーンリーサイド ©Robert Workman

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何かが起りそう(3月のオペラ・コンサート予想)

1.ベルリン・フィルのメンバーによる室内楽(3/14・東京文化会館 小ホール)

いよいよ東京・春・音楽祭が始まる。第1日を飾るのがベルリン・フィルのメンバーによるコンサートだ。ヴァイオリンのイヴィッチ、チェロのマニンガー、ピアノのベン=アリの3人が演奏するのはシューマンとスメタナのピアノ三重奏曲とベートーヴェンの変奏曲とロンドで、ちっとも華やかな曲目じゃないのが魅力的だ。アンサンブルを楽しむための曲を、ソリストのスターでなく、アンサンブルの名手の一団であるベルリン・フィルのメンバーが演奏する。音楽を聴く喜びの出発点に立てるはずだ。

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2. 読売日響第646回定期 ベルク《ヴォツェック》演奏会形式(3/12、13・サントリーホール)

ヴォツェックを歌うサイモン・キーンリーサイド(バリトン)©Robert Workman

これまで成功を重ねてきた読響とヴァイグレが《ヴォツェック》に挑む。もちろん演奏会形式だが、それだけに音楽の精緻さが前面に出るだろう。20世紀の難曲は21世紀だって耳に優しいわけじゃない。指揮者とオーケストラも大変に決まっているが、聴くほうだって気楽にかまえているわけにはいかない。しかしオペラ指揮者としていま好調の波に乗っているヴァイグレは、ミュンヘンでシュトラウス《ダナエの愛》の新制作上演をこなしてすぐこの《ヴォツェック》なのだから驚く。ヴォツェックを歌うのはサイモン・キーンリーサイドで、もしかしたらこれまでの鬼気迫るヴォツェックとは違う上演になるかもしれない。退屈できないベルクが聴けるだろう。

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