第22回別府アルゲリッチ音楽祭が開催延期を発表～アルゲリッチからのメッセージ

私たちをいつも愛してくださる皆さまへ

大好きな日本での私の音楽祭は世界各国において新型コロナウイルス感染症拡大が進み、全ての公演を、来年５月に変更をせざるを得ないこととなりました。

とてもとても残念です。

 

ヨーロッパでは厳しい統制の中で、私たちは自由を失った中にいます。

新型コロナウイルス感染症によって、愛する人を失い、また病にある人が何と多く苦しんでいることでしょう。胸が痛みます。

本当に世界から当たり前にあった普通の日常が消えてしまいました。

これが現実だと言うことが、すぐには信じられません。

一日も早くこの状況が改善し、安心をして過ごせる生活が戻ることを心から願っています。

 

そして、出演を予定していた全ての音楽家や、楽しみにしてくださっている皆さまと共に、来年５月に元気にお会いできますことを、心から願っています。

お互いを思いやり、全ての人々の無事を共に祈りましょう。

皆さまのご無事を祈っています。

 

大分の皆さまへ

この度、大分県広瀬勝貞知事をはじめ関係者の方々との協議を重ねた結果、第22回別府アルゲリッチ音楽祭の来年への延期を決断いたしました。

苦渋の決断ではありましたが、世界各国での新型コロナウイルス感染症拡大に伴い、渡航もままならない状況となりました。

 

私自身、今も自宅から一歩も出ることが出来ない状況にありますが、既にチケットを購入していただいた多くの方々がいらっしゃることを知り、心を痛めています。

 

来年必ずこの大好きな大分へ戻ってきます。

お互いを思いやり、全ての人々の無事を共に祈りましょう。

皆さまのご無事を祈っています。

2020年4月1日

公益財団法人アルゲリッチ芸術振興財団総裁

別府アルゲリッチ音楽祭総監督

マルタ・アルゲリッチ

この環境の中で改めて、普通の生活がいかにありがたいものであったのか、を感じてもおります。

人と人が触れあうことが難しい今の環境では、私たちの音楽活動は成り立たなくなってしまいます。

無観客での配信による方法もあるのかもしれませんが、やはり人と人がその場に集い、その息吹を感じながら、目には見えない交流や、そこに生まれる不思議な感動体験は、何ものにも代えがたいものだ、と一層強く思っています。

身近のかけがえのない人たちや当たり前にあったものが、いとも簡単に突然なくなることが、現実に起こっていますが、物や情報に溢れ、文明が進み、その恩恵を受けて、宇宙にさえ行けるようになった私たちの今の社会を、立ち止まって考える機会にもなりました。

音楽は人々の繋がりを生むものでもあること、そのことの大切さも一層強く感じています。

音楽の役割を改めて心に刻み、次回の開催へ向けてアルゲリッチ総裁と共にスタッフ全員で一層の努力を重ねてまいります。（※抜粋）