
角野隼人がデビュー! 「アメリカン・ドリーム」をテーマにしたルツェルン音楽祭

2026年夏に欧州で行われた音楽祭から、スイスのルツェルン音楽祭(2026年8月13日~9月13日)のもようを、中 東生さんがレポートします。

東京藝術大学、ミラノ·ヴェルディ音楽院、チューリッヒ音楽大学大学院、スイス国立オペラスタジオを経て、スイス連邦認定オペラ歌手となるが、声域の変更に伴い廃業。環境ビジネ...
ルツェルン音楽祭前半は前号の海外レポートに書いたので、後半でとくに輝いた公演を紹介したい。
今年のテーマが「アメリカン・ドリーム」なら、メトロポリタン歌劇場は欠かせないだろう。この歌劇場のオーケストラ、METオーケストラは8月30日、25年ぶりにルツェルン音楽祭に戻ってきた。指揮は音楽監督のヤニック・ネゼ=セガン、ソリストはアメリカを代表するメゾソプラノのジョイス・ディドナートで、意外にも当音楽祭は初登場だった。
ミッシー・マッツォーリ《シンフォニア(軌道を周る天体のための)》 のあとはオール・マーラーで、《リュッケルトによる5つの詩》の5曲のうち、とくに深い優しさが際立った「私はやさしい香りを吸い込んだ」とドラマティックに聴かせた〈真夜中に〉、究極の弱音が光った〈私はこの世に忘れられ〉を挙げたい。今季から首席テューバ奏者を務める中地寛志も、留学国に凱旋する姿が見られた。後半は「交響曲第4番」、アンコールの「交響曲第2番《復活》」から〈原光〉は、戦争を嗜めるように聴こえた。
9月1日はアメリカに移住した角野隼斗が、当音楽祭初出演、リサイタル・デビューを飾った。先月の海外レポートで評したグシュタート音楽祭での選曲に似た「ショパン・オービット」を基盤とするプログラムだが、今回レポートする全公演の会場、KKL(ルツェルン・カルチャー・コングレスセンター)の広さが生かされ、ホール全体が火の鳥となって舞い上がったような終曲のストラヴィンスキー(アゴスティ編)《火の鳥》からの抜粋が圧巻だった。
ユジャ・ワンが弾き振りも

「欧米」が影響し合う好例として、28年間音楽監督を務めているマンフレート・ホーネック率いるピッツバーグ交響楽団が、4日に当音楽祭50回目の出演となるアンネ=ゾフィ・ムターとペンデレツキ「ヴァイオリン協奏曲第2番」を深く聴かせたり、元「アメリカ人神童」のヒラリー・ハーンがトゥガン・ソヒエフの指揮でウィーン交響楽団とドヴォルジャーク「ヴァイオリン協奏曲」を繊細に演奏したり(6日)、と続いたが、究極のアメリカン・プログラムは9月9日だった。
アメリカ人マルチ音楽家、テディ・アブラムスがマーラー室内管弦楽団を指揮し、コープランド《アパラチアの春》組曲と、アメリカが育てたユジャ・ワンのソロでバーバー「ピアノ協奏曲」を怪物的な迫力で演奏した。後半の最後はツファスマン《ジャズ組曲》をワンが弾き振りし、3曲もアンコールに応える興奮とともに、批判も生んだ「アメリカン・ドリーム」年は記憶に残るだろう。





関連する記事
ランキング
- Daily
- Monthly
関連する記事
ランキング
- Daily
- Monthly
新着記事Latest















