ベートーヴェンやバッハなど7人の作曲家にまつわるコーヒーを飲んでみた!
作曲家の名前を冠したコーヒーがあるらしい。10月の特集が「食」にかこつけて、編集部で飲んでみました!それぞれの作曲家コーヒーに合う曲を話し合った様子をお届けします。
東京・神楽坂にある音楽之友社を拠点に、Webマガジン「ONTOMO」の企画・取材・編集をしています。「音楽っていいなぁ、を毎日に。」を掲げ、やさしく・ふかく・おもしろ...
珈琲豆屋ベートーベンの創業当時から愛されるブレンドコーヒー
今年で創業38年を迎える仙台にある珈琲豆屋ベートーベン。「作曲家コーヒーシリーズ」は、創業時から変わらぬ味わいの7種類のブレンドコーヒーを、作曲家のイメージを重ね合わせて、仙台国際音楽コンクールの公式グッズとして誕生しました。
ドリップコーヒーのパッケージには、音楽ジャーナリスト/イラストレーターの上田弘子さんによる作曲家の絵とひとことの豆知識があしらわれています。
バッハ:香ばしく、やや強めの苦味
ベートーヴェン:こくを味わう苦味
ブラームス:口ずさみたくなる、かろやかな苦味
シューベルト:こくと、ほのかに広がる酸味
ショパン:遠い日の恋を想う、おだやかな酸味
チャイコフスキー:月の光のようなやわらかな苦味
モーツァルト:どなたでも飲みやすい味
お店の情報
〒980-0804 仙台市青葉区大町2丁目4-8
営業時間:9時~18時(日曜・祝日休み)
電話:022-225-6996
今回は月刊誌「音楽の友」から2名のゲストをお迎えしました!
「音楽の友」編集長A 毎日必ず飲むコーヒー党。特に食後にブラックを飲むのが定番。「お酒よりもコーヒーが好きです!」趣味でピアノを演奏する。
「音楽の友」編集部KM ブラックしか飲まない生粋のコーヒー党。音高・音大ではピアノを専攻。
ONTOMO編集部KT エスプレッソを愛するおフランス帰りの重鎮グルメ評論家。フルートを吹く。
ONTOMO編集部M 紅茶派、ミルク必須だったのに去年突如ブラックに目覚めたコーヒー党新参者。趣味でヴァイオリンを弾く。
ONTOMO編集長W 仕事中のコーヒーは欠かせないコーヒー愛飲者だが、台風による子ども休校でまさかの欠席。
まずは三大Bのコーヒーをブラインド試飲チャレンジ!
ドイツ作曲家の三大Bと言われるバッハ、ベートーヴェン、ブラームスを、誰のコーヒーか内緒にして飲んでもらいました。
編集部A コーヒー好きの作曲家といえば誰でしょう?
編集部KT ベートーヴェンは60粒数えていた有名なエピソードがありますね。ショパンの好きな飲み物は、たしかコーヒーじゃなかったよね。
編集部M ホットショコラですね(詳しくは「チョコレートが大好きな作曲家と、スイーツを題材にしたポップなクラシック」参照)。あと朝ごはんにミルクたっぷりのカフェオレを飲んでいたみたいです。
編集部A 1はさわやかで軽くて飲みやすいですね。
編集部KM 1と2、色も香りも全然違いますね。
編集部A 違いますね。違うけど……難しいなぁ(笑)。
編集部KM 2は三大Bのなかではブラームスかなぁ。ブラームスって朝5時に起きてコーヒーを飲むんですよね。ブラームスが毎年避暑で訪れていた自然に囲まれた別荘で飲むなら、酸味があるこれかな。
編集部A 1のほうがすっきりしていましたね。こちらのほうがしっかりしている。
編集部KT たしかに1のほうが甘みがあってマイルドでしたね。
編集部M 3が一番苦味が強いですね。
編集部A いつも単体でしか飲まないから、比べると面白いですね。
編集部KT 美味しい。1も2もライトで美味しいけど、3がコーヒーらしくていい!
編集部A 僕も3が一番好きですね。飲みごたえがあって、重厚感がベートーヴェンっぽいと思いました。
編集部KM 私も3はベートーヴェンと思いました。コーヒー豆60粒というのは濃そうなので。
さて、ブラインド試飲で正解を当てられたでしょうか……ご想像にお任せします!
編集部KT それぞれがもっている作曲家のイメージの違いが、どのコーヒーか選ぶときにも表れていますね。自分のなかの作曲家像を考える機会になって、おもしろいですね。
バッハとベートーヴェンとブラームス、それぞれのコーヒーに合う曲は?
バッハ
編集部M 答え合わせを経て、バッハのコーヒーはどの曲に合うと思いますか?
編集部KT この濃い感じは《マタイ》とか《ヨハネ》とか?
編集部M オルガンの受難曲も思い浮かびました。
編集部KM バッハは香ばしい感じが《イギリス組曲》ですね。好きなのは《フランス組曲》ですが、このコーヒーには少し重厚感のある《イギリス組曲》が合うように思います。
編集部M この苦味はシャコンヌっぽいです。
編集部A あぁ、シャコンヌ! それはしっくりきますね。
ベートーヴェン
編集部A 「ヴァイオリン協奏曲」がいいかな。特に1楽章。
編集部KT 自分のベートーヴェンのイメージは、意外と重厚感というよりもおもしろいことを考えている感じなので、コーヒーの苦味にほのかな甘みが重なる感じが合っていました。曲だと「ピアノ三重奏曲第1番」かな。
編集部M 「おやすみベートーヴェン」で若い頃の作品から追ってきた影響が見られますね(笑)。
編集部KM 私は「ピアノ・ソナタ第23番《熱情》」の3楽章のせまりたてるような感じを聴きながら、深夜に飲みたいです。
編集部A 深夜? 深夜に飲んだら眠れなくなっちゃうよ。
編集部KM 例えばレポートなどに追い詰められているときに、このコーヒーを飲みながら《熱情》を聴いたら熱が上がるのではないでしょうか。
編集部KT 駆り立てられるね。
編集部KM けっこうそういうときあるので……。
編集部M 大丈夫?(笑)
ブラームス
編集部A 「交響曲2番」を思い浮かべました。
編集部KT ライトですよね。普段はブラームスって晩年の曲を聴きがちなのですが。
編集部M 私も「交響曲2番」の3楽章か、あとは「交響曲1番」の3楽章のイメージです。
編集部KM Op.118-2がコーヒーの香りと合いそう。いい景色を見ながら……。泣ける曲です。
編集部KT 言われてみるとこれって朝、早朝っぽい。
編集部M 晩年の曲で、悲しみを抱えていたころですよね。
編集部KT そう、起きた朝というより、悲しくて寝られなかった早朝。
編集部KM 泣き明かした朝にこれを聴いたら、心にしみそうです。
編集部KT そしてコーヒーを飲む。
編集部M なんてしみる曲!
編集部KT 感動しちゃうね。
ほのかな酸味が味わい深いシューベルト
編集部KT お気に入りの作曲家からいきましょうか。
編集部A ではシューベルトをお願いします。
編集部M シューベルトの何をよく聴かれますか?
編集部A ピアノ曲とか弦楽四重奏曲ですね。ずっと聴いていられます。このコーヒーもやはりピアノ曲のイメージですね。
編集部KT 「コクとほのかに広がる酸味」とパッケージに書いてあります。後ろにすっと揮発する感じはたしかに酸味かな。けっこう華やかな感じがしますね。
編集部KM 即興曲がいいと思います。まとめて聴くととてもすてきです。
編集部M あとから酸味がきますね。うーん、「交響曲第6番」! 特に4楽章のかわいらしい感じが合っています。
ゆったりと楽しみたいショパン
編集部M ショパンで一番好きな曲は?
編集部MK 《舟歌》です!
編集部A 《幻想ポロネーズ》かな。
ここで、スペシャルゲスト登場。たまたま通りかかった「レコード芸術」編集部Tさんにも飲んでもらいました。
編集部M どの作曲家か当ててください!
編集部T えぇ〜こういうのはずすんだよね。難しいな。シューベルト?
一同 あぁ〜残念でした!
編集部KT 味はどうですか?
編集部T 美味しいです!
編集部M ショパンのなんの曲のイメージですか?
編集部T バラードの1番だな。
編集部KM スケルツォの1番の中間部とか、4番とか。
編集部A ゆったり目のテンポの曲かな。ノクターンとか。《幻想ポロネーズ》も合いそうですね。
編集部KM あと《華麗なる大円舞曲》とか。
編集部KT ショパンはもしかしたらお砂糖を入れたほうがいいかもね。甘党だったそうなので。
編集部KM あ、それで今日はショパンがコーヒーに入れていたというスミレの砂糖漬けを持ってきました。家にたまたまあったので。
編集部M 家にスミレの砂糖漬けがたまたまあるの?
編集部KT パリから来たの?
(鳴り響くバラード1番)
華やかでやわらかなチャイコフスキー
編集部KM あ、香りに特徴がある気がします。
編集部M チャイコフスキーは「月の光のようなやわらかな苦味」。
編集部A やわらかいっていうのはわかるね。すっきりしている。
編集部KM あまり苦味はないですね。
編集部T 「ピアノ協奏曲第1番」や《四季》のイメージです。
編集部KM 私はコーヒーと聞くとやっぱり《くるみ割り人形》の「アラビアの踊り」を思い浮かべます。
編集部A 僕はこれ一番飲みやすくて好きです。華やかでやわらかい感じがしますね。「花のワルツ」とか。
編集部M 《悲愴》の2楽章っぽいと思いました。
編集部KT 重さはないけど、ちょっと癖がある。木の皮みたいないい香りがする。美味しい。
みんなに好かれるモーツァルト
編集部KM チャイコフスキーより華やかな感じがします。
編集部KT 飲みやすいね。ブレンドコーヒーの長所が出ていますね。
編集部M どなたでも飲みやすいって書いてあります。
編集部A バランスが良くてみんな好きな感じ。モーツァルトらしいですね。
編集部M なんの曲ですか?
編集部A ディヴェルティメントかな。K136!
編集部KT 飲みやすくて美味しいなぁ。「ホルン協奏曲第1番」!
編集部M 「弦楽四重奏第14番」かな。
編集部KM 映画『アマデウス』のお菓子のシーンで流れているのが「フルートハープ協奏曲」と《ハ短調ミサ》だったので、そういうのを聴きながら飲むのもいいと思います。
全種類制覇して
編集部M 作曲家のイメージとコーヒーの味は一致していましたか? 納得した?
編集部A なるほど〜と思いました。いろいろ聴いたり話したりしているうちに、しっくりきました。作曲家についてもいろいろ気づかされることがありますね。人によってイメージが違いますし。
編集部KT 音楽が好きな人同士でこのコーヒーを飲んでお話したら楽しいですよね。
編集部A 盛り上がりそうですね。自分と違う感じ方をしていたんだな、こういうイメージもあるんだな、など気づきがあると思います。
編集部M どのコーヒーが一番印象的でしたか?
編集部A ベートーヴェンかな。甘さがあり、とても印象が強いです。バッハも一口目のインパクトが強かったです。
編集部KM 一番印象に残っているのはブラームスです。何かを聴きながら飲むのにいいな。酸味もコクもバランスがよくて、飲みながらゆったりできそうです。そのゆったりが必ずしも穏やかな状態でなくても……(笑)。いろんな場面で活用できるコーヒーだと思います。あとは深夜のベートーヴェンコーヒーもいいかな。今度からそれを置いておけば頑張れる気がします。
一同 素晴らしい!
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