ハープ自慢その3:室内楽やオーケストラの中の音楽を変え得る変幻自在な役回り
アーティストが自分の楽器の魅力をとことん語る連載「My楽器偏愛リレー!」。各楽器につき、3つの自慢ポイントを紹介して、次の奏者にバトンを渡します。今回は、吉野直子さんによるハープ自慢です。
ロンドンに生まれ、6歳よりロサンゼルスにて、スーザン・マクドナルド女史のもとでハープを学び始めた。1981年に第1回ローマ国際ハープ・コンクール第2位入賞。1985年...
ほかの楽器との共演で見えるハープの「別の顔」
ソロ楽器として1人で完結するハープですが、オーケストラの中に入ると、また別の「顔」が見えてきます。ハープの得意なアルペジオやグリッサンドで華やかに場を盛り上げたり、使いかたによっては、打楽器と一緒になってリズムを示したり、管楽器や弦楽器の美しい旋律の伴奏役になったりします。あるいは、たった1つの音で、音楽の場面をガラッと変えるような大切な役回りを担うこともあります。
ベルリオーズの《幻想交響曲》の第2楽章の舞踏会の場面では華やかに、そしてヴィスコンティの映画『ベニスに死す』で使われたことでも有名になったマーラーの「交響曲第5番」の第4楽章のアダージェットでは、弦楽器とともに深淵で独特な音世界を作り出します。
ベルリオーズ:《幻想交響曲》第2楽章、マーラー:交響曲第5番第4楽章
室内楽では、他の楽器と「対話」をすることによって、ハープ1台では表現しきれない世界を作り出すことができます。「1+1=2」ではなく、「1+1=3」になり得る、自分にないものを引き出してくれる出会いに、いつも刺激を受けています。
ハープの魅力を味わう作品
ラヴェル:《序奏とアレグロ》
色彩豊かなフランス印象派を代表するモーリス・ラヴェル(1875~1937)の《序奏とアレグロ》。ハープを中心にしつつ、7つの楽器の個性を活かした、室内楽の名曲です。フランスの伝説的ハーピスト、リリー・ラスキーヌの演奏でお聴きください。
次は、ヴィオラの川本嘉子さんにバトンタッチしたいと思います。
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