ヴィオラ自慢その2:開拓者のようにソリストとしても生きていける!
アーティストが自分の楽器の魅力をとことん語る連載「My楽器偏愛リレー!」。各楽器につき、3つの自慢ポイントを紹介して、次の奏者にバトンを渡します。今回は、川本嘉子さんによるヴィオラ自慢です。
1992年ジュネーヴ国際コンクール・ヴィオラ部門で最高位(1位なしの2位)。1996年村松賞受賞。1997年第7回新日鉄音楽賞・フレッシュアーティスト賞、2015年東...
委嘱アレンジも楽しみ、ソリストの道を開拓できる
小学生の頃から合奏好きだったため、週末になると楽器を担いであちこちのアンサンブルに参加して楽しんでいました。高校生のお兄さんが得意気にヴィオラを弾いていたので「大人になったらアノ大きなチェロのような音のする楽器が弾ける!」と憧れていました。
学生時代はみっちりヴァイオリンを勉強していましたが、10代の最後ぐらいから○響首席奏者による室内楽演奏会などでヴィオラを弾かせてもらって、夢が叶いました。当時はヴィオラが弾けるというだけで仕事がたくさんあったので、ヴィオラへの転向も自然ななりゆきでした。
そんな頃、雑誌「音楽の友」をペラペラめくっていると、ロシア生まれの世界的ヴィオラ奏者、ユーリ・バシュメットが日本でリサイタルをした記事があり、ヴィオラでもソリストとして生きていけることを知り、衝撃を受けました。ベートーヴェンがそれまでの作曲家と違い、パトロンの庇護を受けずにフリーランスの音楽家として成功したのと同じくらいのイノベーションを感じ、興奮したことを覚えています。
プリムローズという天才の活躍後は、バシュメット、カシュカシアン、今井信子さんたちが世界を駆け巡り活躍していたので、ヴィオラの可能性はITで起業に挑むような心持ちでした。
とはいえ、ソロ楽器として耐え得るほどのレパートリーはないなか、先人たちがいろいろな作曲家に委嘱し続けてくれたので、現代曲ばかり弾いている時期もありました。最近は他楽器の名曲をヴィオラ用にアレンジした楽譜も多く出版されて、プリムローズ以来の再ブーム到来? 独特な響きをダイレクトに聴いていただく機会も増えました。著作権さえ気をつければアレンジも楽しく、新しい分野の開拓者気分になれます。
ヴィオラの魅力を味わう作品
大萩康司さんとピアソラ「タンゴの歴史」
フルートとヴァイオリンという編成の原曲を崩さないように川本がアレンジ!
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