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2020.04.07
気まぐれ音楽カレンダー♪

122年前の今日、パリのオペラ座でヴェルディの《聖歌四篇》初演!

1899年撮影のヴェルディ

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1898年4月7日の復活祭にパリのオペラ座で、イタリアのオペラ作曲家ヴェルディの《聖歌四篇》が初演されました。

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第1曲「アヴェ・マリア」
第2曲「悲しみの聖母(スターバト・マーテル)」
第3曲「聖母への賛歌」
第4曲「テ・デウム」

の4曲から構成されますが、初演されたのは第2曲〜第4曲でした。ヴェルディ本人が「これはただの音遊びにすぎない」と言って、第1曲を除外してしまったためです。

(ヴェルディ)夫婦がモンテカティーニ滞在中、ボーイトはリコルディと図って、ヴェルディの書いた4曲の宗教曲を《聖歌四篇》と名付けてパリで初演することを計画した。その《聖歌四篇》というのは1889年に書かれた「アヴェ・マリア」と、その前年にダンテの詩に作曲された「聖母への賛歌」、それに1895〜96年に書かれた二重合唱と管弦楽のための「テ・デウム」、その1年後に作曲完成された「悲しみの聖母(スターバト・マーテル)」の4曲で、それをまとめて1898年の復活祭にパリのオペラ座におけるソシエテ・ド・コンセールの演奏会で初演する計画だった。

『作曲家別名曲解説ライブラリー ヴェルディ/プッチーニ』(音楽之友社)197ページより

 

フィレンツェの北西に位置する山間の湯治場、モンテカティーニは、ヴェルディ夫妻のお気に入りで、健康のためにしばしば滞在していました。

パリでの演奏計画を立てた2人は、ヴェルディにとってキーパーソンです。ボーイトはオペラ作曲家として活動し、ヴェルディとは関係が悪化したこともありましたが、大手楽譜出版社のリコルディのはたらきかけによって、《オテロ》や《ファルスタッフ》の台本を手がけました。

第2曲「悲しみの聖母(スターバト・マーテル)」は、ゴルゴダの丘で十字架にかけられたイエス・キリストのもとで嘆き悲しむ聖母マリアの祈り。

そして第3曲「聖母への賛歌」は、ダンテの『神曲』「天国篇」最終章の「聖ベルナルドウスがダンテのために聖母マリアに祈りを捧げる」場面から引用されています。ヴェルディは、ダンテの本を常に枕元に置いておくほど敬愛していたそうです。

最終曲は、神に対する感謝の心を捧げる祈り、「テ・デウム」。

この初演のとき、ヴェルディは妻を肺炎で亡くした半年後で、傷心しきっていたそうです。特に「悲しみの聖母(スターバト・マーテル)」は、妻が亡くなった時期をまたいで作曲されたヴェルディ最後の作品。胸に響くものがありますね。

 

『作曲家別名曲解説ライブラリー ヴェルディ/プッチーニ』(音楽之友社)
作品別に、基本的な情報から創作背景までまとめられている。さらに、豊富な譜例による楽曲解説で、理解を深めることができる。

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