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2025.11.13
名曲解説100

30秒でわかるベルリオーズ:幻想交響曲 ハ長調

ベルリオーズ:幻想交響曲 ハ長調について30秒で丸わかり♪

寺西基之
寺西基之

1956年生まれ、上智大学文学部を卒業後、成城大学大学院で西洋音楽史を専攻し、修士課程を修了。大学院在学中より音楽評論活動を始め、CDライナー、演奏会プログラム、音楽...

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フランスの作曲家エクトル・ベルリオーズ(1803~1869)の代表作であるこの交響曲は彼の革新的なロマン主義を如実に示した作品で、イギリスの女優スミッソンへの自らの失恋体験を脚色して描いた破天荒な標題交響曲です。標題は「病的な感性と激しい想像力を持つ若い芸術家が失恋して阿片自殺を図るが死ねず、奇怪で幻想的な夢を見る」というもので、恋人を示す特定の旋律(固定楽想)が全曲通して様々に変形されながら用いられています。

第1楽章「夢、情熱」は夢想的な序奏の後、恋人を表す固定楽想を第1主題とする主部が情熱的に発展します。第2楽章「舞踏会」は舞踏会を描くワルツ。

第3楽章「野の風景」は牧笛の対話(コーラングレと舞台裏のオーボエ)に始まる田園を舞台とした牧歌的な緩徐楽章ですが、やがて固定楽想が現れて恋の不安を暗示します。

第4楽章「断頭台への行進」は夢の中で恋人を殺した主人公が断頭台へ引かれる情景で、最後刃の落とされる瞬間に恋人の幻(クラリネットの固定楽想)が現れます。

第5楽章「魔女の夜会の夢」は魔女の夜会の描写で、恋人は醜く変身し(固定楽想)、鐘の音や聖歌《怒りの日》の旋律も織り込んで高潮してきます。

ベルリオーズ:幻想交響曲 ハ長調

作曲年:1830年(改訂1831年、1855年)

演奏時間:約55分

編成:フルート2(第2はピッコロ持替)、オーボエ2(第2はコーラングレ持替、クラリネット2(第2は小クラリネット持替)、ファゴット4、ホルン4、トランペット2、コルネット2、トロンボーン3、オフィクレイド2(テューバで代用)、ティンパニ2組、大太鼓、シンバル、鐘、ハープ2、弦5部

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1956年生まれ、上智大学文学部を卒業後、成城大学大学院で西洋音楽史を専攻し、修士課程を修了。大学院在学中より音楽評論活動を始め、CDライナー、演奏会プログラム、音楽...

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