手紙から見えてくる「最高のコンビ」だったモーツァルト父子
2020.12.10
メシアン「トゥランガリーラ交響曲」~発音要注意! サンスクリットの直訳は“馬の遊...
音楽ジャーナリスト。都内在住。著書に『はじめてのクラシック マンガで教養』[監修・執筆](朝日新聞出版)、『クラシック音楽のトリセツ』(SB新書)、『R40のクラシッ...
モーツァルトの交響曲で愛称が付いている作品はどれも大傑作ばかりである。
交響曲第36番《リンツ》は、リンツ滞在中に行われた演奏会のために書かれた。リンツで誕生した作品だから「リンツ」と呼ばれることになった。
交響曲第38番《プラハ》は、モーツァルトがプラハに招かれた際に初演された。こちらも地名にちなんで「プラハ」と呼ばれる。
そして、交響曲第41番の愛称は《ジュピター》。こちらは木星で初演されたから「ジュピター」と呼ばれることになった……などというわけがなく、ここでいう「ジュピター」とはローマ神話の最高神ユピテルのこと。ギリシャ神話でいえばゼウス。神様のなかでも最高の神様の名を愛称に持っている。第4楽章で最後に訪れるフーガを聴くと、なるほどこれは神がかっている! と感嘆するほかない。これぞ神技。
ちなみに平原綾香が歌った「ジュピター」は、ホルストの組曲「惑星」の「木星」に由来する曲であり、そちらは「ジュピター」違いだ。