音大で取得できる資格はなに?~教員、音楽療法士、その他
「好きな音楽を将来の仕事にしたい」。そう思って音大に興味を持つ中高生も多いことでしょう。大学卒業で得られる学士の学位以外に、音大ならではの資格も取得できれば、就活や卒業後に役立つかもしれません。実際、音大ではどのような資格が取得できるのでしょうか?
*記事は内容の更新を行っている場合もありますが、基本的には上記日付時点での情報となりますのでご注意ください。
執筆:堀内亮(音楽大学講師)、荒木淑子(音楽ライター)、各編集グループスタッフ。音楽之友社および『音楽大学・学校案内』編集グループは、1958年に年度刊行書籍『音楽大...
ここでは、音大で取得できるおもな資格を、「教員」「音楽療法士」「その他」に分けました。各音大・短大の専攻やコースにより、取得できる資格は異なりますので、くわしくは各音大のWebサイトなどで確認しましょう。
なお、一部の職業は「資格」がなければ就けませんが、いっぽう資格を持っているだけで、すぐに仕事に就けたり就職先があったりするわけではありません。例えば教員免許を取っても、公立学校の教員になるためには各自治体の「採用試験」があり、私立学校の場合はその学校独自の採用方法があります。気になる職業については、どのようにしたら職に就けるのか、調べておくとよいでしょう。
学校で子どもたちに教える「教員」
中学・高校の「音楽の先生」になれる資格
- 中学校教諭一種免許状(音楽/大卒程度)
- 中学校教諭二種免許状(音楽/短大卒程度)
- 高等学校教諭一種免許状(音楽/大卒程度)
- 高等学校教諭二種免許状(音楽/短大卒程度)
「音楽の先生」になれる教員免許状を取得できるのは、音大ならでは。
教員養成系の大学では免許取得が卒業要件として必須な場合があります。基本的に、国公立大学の音楽学部や私立の音大でも、教職課程で必要な単位を修得すれば免許状を取得できます。
また、中学校教諭の免許を持っていれば、小学校の音楽専科に採用されることもあります。
音楽以外で「学校の先生」になれる資格
- 小学校教諭一種免許状(大卒程度)
- 小学校教諭二種免許状(短大卒程度)
- 特別支援学校教諭免許状
- 学校図書館司書教諭(任用*後述参照)
- 養護教諭免許状
- 幼稚園教諭免許状
それぞれ、所定の単位を修得することが必要です。
「小学校教諭」は、おもに国公立や私立の教員養成系の大学で取得できるほか、実技系中心の私立音大の一部でも、提携している他大学の通信教育などを受講することで取得可能です。
学校図書館司書教諭の資格は、小・中・高、もしくは特別支援学校のいずれかの教員免許を取得することと、「司書教諭講習科目」を受講することが必要で、おもに教員養成系の大学で取得可能です。
音楽で人を支援する「音楽療法士」
- 日本音楽療法学会認定 音楽療法士(補)受験資格
- 全国音楽療法士養成協議会認定 音楽療法士(専修、1種、2種)
「音楽療法士」は現在、資格を認定する民間団体が2つあります。
日本音楽療法学会に認定された大学の音楽療法専攻で必要なカリキュラムを修了した卒業生には、音楽療法士(補)の受験資格が与えられます(卒業見込み時)。その後の面接試験に合格することで、音楽療法士の資格を得ることができます。
いっぽう全国音楽療法士養成協議会認定の音楽療法士の資格は、協議会に加盟している大学の音楽療法専攻で学び、指定された科目を修得すれば、卒業と同時に資格を得ることができます。
※それぞれの団体のサイトもご覧ください。
その他
ほかにも、次のような資格を取得できる音大があります。
- 図書館司書(任用)
- 学芸員(任用)
- 社会福祉主事(任用)*1
- 社会教育主事(任用)*2
いずれの資格も、それぞれ所定の単位や課程を修得すれば、卒業時に取得することができます。また、これらは「任用資格」と言われ、卒業後に実際にその仕事に就いてはじめて効力を発揮することができる資格です(資格を取得したからといって、「私は○○です」とは言えない、ということです)。
*1福祉事務所などで必要とされる資格。社会福祉施設・介護施設の就職に有利。
*2社会教育主事は、地方自治体の教育委員会の事務局に勤務し、社会教育に関する専門的な指導と助言を行う専門職。
また、音響や照明などを学ぶ、特定の専攻・課程のみになりますが、次のような舞台に関する資格(受験資格)を取得できる音大もあります。
- 国家資格 舞台機構調整技能士 受験資格
- 公益社団法人日本照明家協会 舞台・テレビジョン照明技術者技能認定 受験資格
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