【番外編】プレスラー追っかけ記
<プレスラーの愛弟子・寺田悦子さんからのコメント>
94歳の伝説的ピアニスト、メナヘム・プレスラー。これは、音楽界の至宝と讃えられる彼の2017年の来日を誰よりも待ちわび、その際の公演に合わせて書籍を訳した瀧川淳さんによる、来日期間中のプレスラー追っかけ記です。
『メナヘム・プレスラーのピアノ・レッスン』(ウィリアム・ブラウン著)訳者。 音楽教育学者。音楽授業やレッスンで教師が見せるワザの解明を研究のテーマにしている。東京芸術...
インディアナ大学留学中にプレスラーさんに師事、アシスタントもなさっていたピアニストの寺田悦子さん(日大芸術学部・大学院研究所教授)が、『メナヘム・プレスラーのピアノ・レッスン』をお読みになり、コメントを寄せてくださいました。
メナヘム・プレスラーの演奏が人々の心を捉えるのはなぜだろう?
この本ではプレスラーの稀有な生い立ちが明かされた後に、彼が提案する独自のピアノの基礎練習方法に加え、数多くのピアノ曲においての具体的な助言例などが記されているのが面白い。演奏家にとって、独自の「音」を持つための基礎力と「想像力」がいかに重要かが見えてきます。
ピアニストにとっても、多くの音楽愛好家にとってもプレスラーの演奏のマジックを知る手掛かりになるこの1冊。皆さんにも、ぜひお読みいただきたいと思います。
――寺田悦子 ピアニスト
実際にプレスラーさんが生徒たちへの指導に使っている練習用楽譜や練習方法、全23曲のレッスン・コメント等々、じつに細かいレッスン内容を収録している本書。直接プレスラーさんの指導を受けていた寺田さんから、このようなコメントをいただき、翻訳者・瀧川淳さん、編集担当ともども心から喜んでおります。
10月12日に行われた「サントリーホール室内楽アカデミー」のマスタークラスにて。久々の対面を果たしたプレスラーさんと寺田さん。
「10月16日サントリーホールのコンサート後、楽屋でインディアナ大学で教えを受けた門下のピアニストたちと」というコメントとともに、お送りいただいた写真。
左より、渡辺規久雄さん(寺田さんとはご夫婦)、寺田さん、プレスラーさん、澤村千栄子さん、河村まなみさん。
1923年、ドイツ生まれ。ナチスから逃れて家族とともに移住したパレスチナで音楽教育を受け、1946年、ドビュッシー国際コンクールで優勝して本格的なキャリアをスタートさせる。1955年、ダニエル・ギレ(vn.)、バーナード・グリーンハウス(vc.)とともにボザール・トリオを結成。世界中で名声を博しながら半世紀以上にわたって活動を続け2008年、ピリオドを打つ。その後ソリストとして本格的に活動を始め、2014年には90歳でベルリン・フィルとの初共演を果たし、同年末にはジルベスターコンサートにも出演。ドイツ、フランス国家からは、民間人に与えられる最高位の勲章も授与されている。また教育にも熱心で、これまで数百人もの後進を輩出してきた。世界各国でマスタークラスを展開し、またインディアナ大学ジェイコブズ音楽院では1955年から教えており、現在は卓越教授(ディスティングイッシュト・プロフェッサー)の地位を与えられてい
『メナヘム・プレスラーのピアノ・レッスン(原題:Menahem Pressler : Artistry in Piano Teaching)』著者。
インディアナ大学でメナヘム・プレスラーに師事し、その間、ピアノ演奏で修士号と博士号を取得。ソリスト、室内楽奏者として活躍するかたわら、アメリカ・ミズーリ州にあるサウスウエスト・バプティスト大学の名誉学部長ならびにピアノ科名誉教授でもある。ミズーリ州音楽教師連盟前会長、パークウェイ優秀教師賞受賞。『ピアノ・ギルド・マガジン』や『ペダルポイント』誌などへの寄稿も多数。
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