2020.04.06
林田直樹のミニ音楽雑記帳 No.6
華のあるダムラウの歌でリヒャルト・シュトラウスを
林田直樹 ONTOMOエディトリアル・アドバイザー/音楽ジャーナリスト・評論家
1963年埼玉県生まれ。慶應義塾大学文学部を卒業、音楽之友社で楽譜・書籍・月刊誌「音楽の友」「レコード芸術」の編集を経て独立。オペラ、バレエから現代音楽やクロスオーバ...
現時点での、世界最高のソプラノ歌手は誰かと問われたら、その一角に間違いなく入るのが、ドイツ出身のディアナ・ダムラウだろう。
ダムラウの舞台に筆者が初めて生で接したのは、2010年3月、メトロポリタン・オペラでのロッシーニ《セビリャの理髪師》。
ミュージカル系の演出家バートレット・シャーによる舞台だったが、おてんばで気性の激しい主人公ロジーナを熱演し、寝転がったり踊ったり、のけぞったりしながら、装飾技巧的なアリアを平然と歌う様子が印象的だった。
来日公演で《セビリャの理髪師》~〈今の歌声は〉を歌うダムラウ
ダムラウの歌は、安定した高い技術と明るい声質の上に「さらにもう一段輝く華」を織り込むというもので、妥協ない挑戦と、知的なコントロールと、人を幸福でいっぱいにする力にあふれている。楽屋でインタビューする機会があったが、慎ましい人柄にすっかり魅了されてしまった。
ダムラウの最新録音は、R.シュトラウス歌曲集(ピアノはヘルムート・ドイチュ)。
「四つの最後の歌」(うち3つはヘッセの詩)と「あした」は、昨年12月に76歳で亡くなったマリス・ヤンソンスの指揮するバイエルン放送響がバックについているのが豪華だ。ドイツ・ロマン派の夕映えのような、ゆったりと深い呼吸に満ちた演奏が堪能できる。
R.シュトラウス「四つの最後の歌」~第2曲「九月」
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