超人伝説を更新し続ける男・横山幸雄による、ベートーヴェンのソナタ全曲演奏DVD
大学院でインドのスラムの自立支援プロジェクトを研究。その後、2005年からピアノ専門誌の編集者として国内外でピアニストの取材を行なう。2011年よりフリーランスで活動...
昨年2020年、ベートーヴェンイヤーの終わりとなる12月、ピアニストの横山幸雄さんが行なった超人的びっくり企画。ベートーヴェンのピアノ・ソナタ32曲を2日間で全部弾くという演奏会。この模様をすべて収録したDVDが出ました。全6枚組、収録時間11時間半超!
ベートーヴェンの演奏会シリーズがコロナ禍で予定通りに行えなくなったとき、ただ時期や内容を変更するのではなく、改めてベートーヴェンの全体像を俯瞰してみるとどういうことになるかやってみよう! と2020年7月にひらめき、その5ヶ月後である12月にそのコンサートをしてしまう、という。一度ひらめくと、どうしようかなーと迷う、というオプションが欠落しているんだそうです(ご本人談)。
2013年からベートーヴェンのシリーズを続けてきたからこそ、思いついてすぐに実現できたことだとはいいますが、そうはいってもやっぱりすごい。しかも、1日でやることも考えた、とかおっしゃる。1日にしなかった理由は、長時間すぎてコロナ禍にはあわないし(なにせ演奏の正味時間だけで10時間ですからね)、ベートーヴェンの音楽のエネルギーのことを考えても、聴き手からしたら2日に分けたほうがいいだろうと思って、とのこと。
弾くのが大変だから、という理由ではないらしい。
横山さんならではの安定感と明確なタッチ、それでいてその場で湧き出してくるようなみずみずしさ。ベートーヴェンの人生を感じる10時間です。DVDでは、音を堪能できるのはもちろん、その指さばきをクローズアップした状態でたっぷり観察することができます。
DVDダイジェスト映像 1日目
DVDダイジェスト映像 2日目
ちなみにわたくし、Disc6のロングインタビュー(90分! 長い!)で、聞き手をつとめております。ソナタを全曲一度に弾いてみて見えたこと、ベートーヴェンのユーモアの暴走の話、演奏中の没入と冷静のバランス、カイロを貼りまくって臨んだ当日の裏話(換気が必要だったため、ステージが寒くて大変だったそうです)など、個人的に聞いてみたいことを聞きまくりました。ぜひ本編とあわせてご覧ください。
そして横山さん、ピアノ・ソナタ全曲演奏でベートーヴェンへの取り組みの集大成を成し遂げた! と見せかけて、まだまだ掘っていこうと思いついた模様。ベートーヴェンの演奏会シリーズ「ベートーヴェン・プラス」は続編がこれからも開催されていくそうです。
デビュー30周年記念公演でもある9月23日のリサイタルでは、ベートーヴェンの「3大ソナタ」「最後の3つのソナタ」と、シューベルトとショパンの最後のソナタ、そしてリストのロ短調ソナタという、大変なソナタばっかり大集合なプログラム(午前11 時開演、16:20終演予定)を披露してくれます。聴き終える頃には、お腹いっぱいパツパツ間違いなしです!
日時: 2021年9月23日(木・祝)11:00開演〜16:20終演予定
会場: 東京オペラシティ コンサートホール
出演: 横山幸雄
曲目:
<第1部> 11:00
ベートーヴェン:ソナタ 第8番 ハ短調 Op. 13 「悲愴」
ベートーヴェン:ソナタ 第14番 嬰ハ短調 Op. 27-2 「月光」
ベートーヴェン:ソナタ 第23番 ヘ短調 Op. 57 「熱情」
<第2部> 12:45
ベートーヴェン:ソナタ 第30番 ホ長調 Op. 109
ベートーヴェン:ソナタ 第31番 変イ長調 Op. 110
ベートーヴェン:ソナタ 第32番 ハ短調 Op. 111
<第3部> 14:20
シューベルト:ソナタ 第21番 変ロ長調 D. 960
<第4部> 15:20
ショパン:ソナタ 第3番 ロ短調 Op. 58
リスト:ソナタ ロ短調
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