北東北初の音楽祭！ 「秋田・潟上国際音楽祭」から世界に発信する文化芸術

「秋田・潟上国際音楽祭」は秋田県初、並びに北東北初の音楽祭として、国内最大規模、ひいては世界の「Akita-Katagami」を見据えた本格的な音楽祭。

国内最大の民謡数を誇り、多くの集落に能楽堂や地域の文化遺産の残る秋田。青き山脈、猛々しい生命の恵みを運ぶ日本海、豊潤の湖は八郎潟、田沢湖、十和田湖。古くはヤマト王朝最北の地として、中世には蝦夷、渤海との交流で独自の文化を花開かせ、江戸期を通じた北前の運ぶ上方文化との融合。水清く人豊かなこの地こそ、これからの文化の発信地に相応しいカナンの地であり、世界一級のアーティストを一堂に会する場に相応しい。

音楽と対峙することは、その奥にある文学、歴史、美術との対話であり、言い換えれば「人間」そのものと向き合うことに他ならない。音楽という文化を通じて、我々は自己を培い、一人ひとりが主人公の持続可能で多様性に富んだ活気ある街づくりをすることが可能となる。

国際音楽祭を通して、この地から世界レベルの文化の提供、秋田独自の文化とのコラボレーションによる21世紀の新たな文化の形の創造、アーティストと地域との交流、文化による地域創生、秋田ブランドの発信を目的としている。

第2回目の開催となる2023年は、中学校吹奏楽部とのコラボコンサートなどアーティストと地域との交流を行なう一方で、スロヴァキア・フィルハーモニーや、世界的な指揮者であるレインハルト・ジーハファーなど世界レベルの音楽を秋田に響かせる。

まずは、7月8日にあきた芸術劇場ミルハスでダニエル・ライスキン指揮のもと笹沼樹と共に演奏するスロヴァキア・フィルハーモニー。

それから、7月15日の「千田桂大と仲間達～生誕190周年記念オールブラームスコンサート～」では、今をときめく日本のトップ・ヴァイオリン・プレイヤーの1人、﨑谷直人と共にブラームスのピアノ・ソロ曲、ヴァイオリンとのピアノ・デュオ、そしてピアノ・クァルテットというようにコンサートを通して広がる彼の音楽に浸ることができる。

7月16日にはイタリア出身のピアニスト、ヴィットリオ・フォルテが「歌」をテーマにリサイタルを行なう。イタリア人ならではの繊細で美しいカンタービレはもちろん、2014年に国際クラシック音楽大賞を受賞したアール・ワイルドによる歌曲編曲集を始めとした「歌」レパートリーで聴くことのできる超絶技巧も必聴だ。

8月31日には日本人の母とルーマニア人の父をもつ天才ヴァイオリニスト、エリック・シューマンによるウィーンの音楽。

11月5日の酒蔵コンサートでは水谷川優子と黒田亜樹による南米音楽コンサート。

そして一番の聴きどころが11月12日に行なわれる、東ドイツ出身の巨匠レインハルト・ジーハファー指揮、千田桂大のピアノによる仙台フィルハーモニーとの公演。苦悩から歓喜へというテーマで、ベートーヴェンの序曲から、ラヴェルのボレロまでという非常に大きく意欲的なプログラムを予定している。

ヨーロッパでオペラ指揮者として名を馳せるジーハファーの指揮はその物語性、構築性において特筆すべき点があり、その良さは今回のプログラムで目の当たりにすることとなるだろう。

第2回秋田・潟上国際音楽祭2023において、ほとんどの公演に共通しているテーマがある。それは「中欧」。中欧神聖ローマ、今は無きたそがれの多民族大国である。

中欧においてはオーストリア、ドイツ、ハンガリー、チェコ、スロヴァキアをはじめとして、さまざまな国の歴史が複雑に絡み合っている。それはその国に生まれて音楽を作ってきた音楽家たちも同じである。今回の公演では、特に神聖ローマ帝国というハプスブルク家のもとで綿々と繋がってきた音楽の歴史を如実に感じることのできる内容となっている。

この音楽祭を通して歴史の点を繋げ、クラシック音楽を作り上げている一つの大きな輪を感じたい。