
白鳥英美子が55周年ベスト盤~”あの時”の記憶を呼び覚ますヒーリング・ヴォイス

多くのアニメソングやテレビドラマの主題歌、CMソングを手掛けてきた白鳥英美子さん。芥川澄夫さんとのユニット「トワ・エ・モワ」では紅白歌合戦にも2回出場するなど、多岐にわたる活動を展開してきました。そんな白鳥さんは2024年にデビュー55周年を迎え、今年は記念アルバムもリリース。アルバムについて、そして美しい声の秘訣などをお聞きしました。

国立音楽大学演奏学科鍵盤楽器専修(ピアノ)卒業、同大学大学院修士課程器楽専攻(伴奏)修了を経て、同大学院博士後期課程音楽学領域単位取得。在学中、カールスルーエ音楽大学...
CM曲《AMAZING GRACE》が転機だった
――アルバムを聴いて、今回新録音された《いのちの森》にいたるまで、歌声が変わらないことに驚きました!
白鳥 特別なことはしていないのです。思いつくところでいえば、辛い物は避ける、きつい炭酸飲料は飲まない、歌う前にはメロンなど喉に刺激のあるものを食べない……といったところでしょうか。また発声練習をしすぎない、というのはありますね。声を出さずに、呼吸法で喉の筋肉がおとろえないようにはしています。
――音域の広さにも驚かされました。とくに《LET THE RIVER RUN》(ドラマ『HOTEL』主題歌)は、高いところから低いところまでのびやかで艶やかな歌声が魅力的に響いています。
白鳥 特別な発声法があるのかと尋ねられることもあるのですが、小さい頃から歌うことが大好きで、とにかく聞こえてきたものを真似する、ということを続けてきました。子どもの頃はラジオから聞こえてくる浪曲やジャズ、ポップスなどにひたすら耳を傾けて、それに近づこうと。そのうちに英語の発音もなんとなく身についていましたね。

神奈川県横須賀市出身。1969年「或る日突然」で“トワエモワ”としてデビュー。「空よ」「誰もいない海」「虹と雪のバラード」等、数々の名曲を残し1973年に解散。解散後、アルウィン学園玉成高等保育学校に於いて保育を学ぶ。75年結婚、渡米。帰国後、77年に“鴉鷺(アロ)”結成、4年間活動。82年、アルバム『LADY』を発表し、コンサート、CM音楽、アルバム制作など、本格的にソロ活動開始。87年、CMで歌った「AMAZING GRACE」が話題となり、アルバム『AMAZING GRACE』発表。以後、クラシックをモチーフにした楽曲を収めたアルバムを多数リリース。アニメ主題歌(『楽しいムーミン一家』『ドラえもん』他)、TVドラマ主題歌、ナレーション、エッセイ出版など様々な分野で活躍、幅広い年齢層の支持を得ている。1998年の長野冬季オリンピックを機に“トワエモワ”の活動を再開。コンサート、CD制作、テレビ出演など、ソロと並行して活動している。2000年『FINAL FANTASY Ⅸ』エンディング・テーマ「Melodies Of Life」歌唱。FF音楽のオーケストラ演奏によるコンサート『Distant World』にヴォーカルゲストとして国内外で出演。2024年『55周年記念コンサート Half Century Memories ~追憶~』、2025年には白鳥英美子55周年 パートⅡコンサート『白鳥英美子 ミュージック オブ ファンタジー』を開催。11月にはフィンランドにて『Sumio Shiratori’s MOOMIN MUSIC』に出演
――白鳥さんの歌唱は英語の発音も魅力的です。CM曲として大いに話題となった《AMAZING GRACE》は、とくにそれが際立っています。
白鳥 この曲はターニングポイントになりましたね。CMのためにワンコーラスだけ歌った《AMAZING GRACE》にたくさんのお問い合わせをいただき、ある日キングレコードから“CDを作らないか”というお話をいただいて。ただ、シングルだけを作ってそれで終わるようなことにはしたくなかったので、“アルバムを作れるなら”とお答えしました。そうしたら《AMAZING GRACE》を引き立てるようなクラシカルなアルバムを作ろうと仰っていただけたのです。
父の影響でクラシック音楽が身近に
――それが今回の収録曲の一つである《IF THE WORLD HAD A SONG》(バッハ《主よ、人の望みの喜びよ》の編曲)を含むアルバム『AMAZING GRACE』につながったのですね。
白鳥 いろいろなクラシック音楽の候補曲を出しあうところから作り上げていきました。それが好評だったこともあり、クラシック曲をあつめたアルバムの第2弾『美しく青きドナウ』もリリースできました。
――白鳥さんご自身もクラシック音楽がお好きなのですね?
白鳥 父が大好きでよく聴いていたので、自然と私も聴いていました。昔はまさか歌うことになるとは思ってもみませんでしたが、《美しく青きドナウ》やラフマニノフの《パガニーニの主題による狂詩曲》の第18変奏(こちらもアルバム『美しく青きドナウ』に収録)も大好きでよく聴いていた曲です。
――今回の記念アルバムはクラシック音楽のアレンジのほか、映画やアニメのタイアップ曲も数多く収録されており、皆様のいろいろな記憶を呼び覚ます内容になっていますね。
白鳥 やはり皆様にこれまでたくさん聴いていただいた曲を入れていこう、というところからそのようになりました。そして“ぜひ新曲を”というお声もあり、《いのちの森》も新たに制作しました。今年は私にとって思い出深いムーミンが80周年ということもあり、フィンランドの空気を感じていただけるような楽曲で、かなりの高音にも挑戦しています。
つねに人々に寄り添う歌声を届けながら、進化し続ける白鳥英美子。ここから先も新たな楽しみをたくさん届けてくれることであろう。
[KICS-4226]
【収録曲】
1. IF THE WORLD HAD A SONG (CMソング)
2. Melodies Of Life (featured in FINAL FANTASY Ⅸ)
3. ヘヴンリー・ブルー (ドラマ『天上の青』主題歌)
4. 夢の世界へ (アニメ『楽しいムーミン一家』オープニングテーマ)
5. 遠いあこがれ (アニメ『楽しいムーミン一家』エンディングテーマ)
6. 夢のゆくえ (映画『ドラえもん のび太のドラビアンナイト』主題歌)
7. AMAZING GRACE (CMソング)
8. THE BOOK OF LIFE(Album Version) (アニメ『コスモウォーリアー零』エンディングテーマ)
9. Message ~虹~ (『FINAL FANTASY』メインテーマ ヴォーカルアレンジメント)
10. LET THE RIVER RUN (ドラマ『HOTEL』主題歌)
11. 花束そえて (『長野冬季オリンピック』讃歌)
12. いつかすてきな旅 (アニメ『楽しいムーミン一家 冒険日記』エンディングテーマ)
13. しあわせのモルガーネ (映画『楽しいムーミン一家 ムーミン谷の彗星』オープニングテーマ)
14. この宇宙へ、伝えたい (映画『楽しいムーミン一家 ムーミン谷の彗星』エンディングテーマ)
15. THE EYES OF LOVE (CMソング)
(ボーナストラック)
16. YAKUSOKU ~父に送る手紙~(トワエモワ) (NHK『みんなのうた』)
17. いのちの森
定価:¥3,000(税抜価格 ¥2,727)
詳細はこちら
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