芸術を忘れないで〜英国ロイヤル・バレエのダンサーとローリング・ストーンズがコラボ
世界三大バレエ団のひとつ、英国ロイヤル・バレエのダンサーたちが、ザ・ローリング・ストーンズの新曲「Living in a Ghost Town」で踊っている動画「Ghost Light」。このコラボが生まれた背景には、新型コロナウイルス感染拡大によって芸術が直面している危機に対する、ダンサーの熱い思いがありました。
どのように生まれたのか、そしてこの動画を通して何を伝えたいのか、出演しているミーガン・グレース・ヒンキスさんにメールインタビューで教えてもらいました。
フランス文学科卒業後、大学院で19世紀フランスにおける音楽と文学の相関関係に着目して研究を進める。専門はベルリオーズ。幼い頃から楽器演奏(ヴァイオリン、ピアノ、パイプ...
英国ロイヤル・バレエのダンサーたちが魅せるザ・ローリング・ストーンズ
ザ・ローリング・ストーンズ8年ぶりの新曲「リヴィング・イン・ア・ゴースト・タウン」は、新型コロナウイルスが感染拡大する1年以上前にレコーディングされていましたが、現在の状況に合っていることから、今年4月24日にリリースされました。
動画「Ghost Light」では、この曲に合わせて、英国ロイヤル・バレエのダンサーたちが誰もいないロンドンの街中で踊っています。異色のコラボと、誰もいないロンドンの街中で美しく強く、しなやかに踊るダンサーたちの姿が非常に印象的な動画です。
そしてこの動画から得た収益は、14の慈善団体のネットワーク組織に寄付されるとのこと。
出演している英国ロイヤル・バレエのソリスト、ミーガン・グレース・ヒンキスさんに、この動画が作られた経緯や意義、ダンスの感想について、お話をうかがいました。
芸術が瀕する危機を救うために
——この曲を踊ることになったきっかけを教えてください。
ミーガン 「Living in a Ghost Town」を初めて聴いたとき、すぐに立ち上がって踊りだしたくなりました。何回も何回も聴いて、すごくインスパイアされたんです。動画を作って、新型コロナウイルスによって芸術が直面している危機を自覚してもらうために、私と仲間のダンサーたちの才能を活かしたいと思いました。
英国ロイヤル・バレエのソリスト。アメリカ出身で、アメリカン・バレエ・シアターで経験を積んだのち、2011年より英国ロイヤル・バレエの一員となり、2015年からソリストを務める。
《くるみ割り人形》のクララ、《ラ・シルフィード》のエフィー、《白鳥の湖》のオデットなど、数多くのレパートリーをもつ。
——ミーガンさんのアイデアだったんですね!
ミーガン そうなの! それで、仲のいい友人のメラニー・ハムリックに連絡したんです。彼女はアメリカン・バレエ・シアターの元バレリーナで、(ザ・ローリング・ストーンズのボーカルの)ミック・ジャガーのパートナーでもあります。
最近よく振り付けの仕事をしているメラニーは、このアイデアにビビッときたんです。ザ・ローリング・ストーンズのマット・クリフォードとミック・ジャガーが動画のために、「Living in a Ghost Town」をちょうどいい長さに編集してくれました。さらに、メラニーが一緒に振り付けをしているジョアンナ・デフェリーチェに振り付け協力を依頼しました。ジョアンナ・デフェリーチェは動画の編集も引き受けてくれて、旦那さんのマット・ペニントンと一緒に仕上げてくれました。
私がロイヤル・バレエの同僚に参加を呼びかけたら、みんなYes! と言ってくれました。やりとりは全部Zoomでして、たったの2週間で完成したんです!
——ザ・ローリング・ストーンズはイギリスでどのような存在ですか?
ミーガン ザ・ローリング・ストーンズは、どの世代にとっても、イギリスの音楽文化でものすごく重要な存在です。常にもっとも有名なバンドのひとつです!
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