インタビュー
2023.04.18
ベートーヴェン没後200年の2027年に向けて歩み続ける「The Road to 2027リサイタル・シリーズ」

仲道郁代 長いシリーズの折り返しに挑む「ベートーヴェンと演劇」という新たな視点

ビートルズに《The Long and Winding Road》という名曲があるけれど、ピアニストの仲道郁代が2018年からスタートさせた「The Road to 2027 リサイタル・シリーズ」も2027年までの長くうねった道のりの半ばに到達したところ。<春のシリーズ>と<秋のシリーズ>というふたつのシリーズが並行して進み、それぞれが違ったテーマを持っている。その2023年の<春のシリーズ>リサイタル「劇場の世界」を前に、このシリーズを通して仲道が感じていること、考えていることを伺った。

片桐卓也
片桐卓也 音楽ライター

1956年福島県福島市生まれ。早稲田大学卒業。在学中からフリーランスの編集者&ライターとして仕事を始める。1990年頃からクラシック音楽の取材に関わり、以後「音楽の友...

撮影:田頭真理子

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ベートーヴェンの音楽に含まれる哲学的なアイディアをもとに

仲道「まず<春のシリーズ>のほうは、ベートーヴェンのピアノ・ソナタを核にして、その音楽に含まれる哲学的と言えるアイディアをもとに、ベートーヴェン以外の作曲家の作品との関連性を意識したプログラミングとしています。

<秋のシリーズ>はピアノという楽器の多彩な魅力を知っていただくことができるように、私がこれまであまり取り上げてこなかった作品も含めて演奏する、挑戦的とも言えるシリーズになっています」

ご存知のようにベートーヴェンは32曲のピアノ・ソナタを残していて、仲道はこれまでもその全曲演奏に取り組んできた。この<春のシリーズ>ではモーツァルト、シューベルト、シューマン、ショパン、リスト、さらにはムソルグスキー、シェーンベルクというかなり幅広い時代の作曲家の作品が、ベートーヴェンのピアノ・ソナタと共に演奏される。それぞれのリサイタルに付けられたタイトルも興味深い。

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変化する社会の中で演奏する意味とは

仲道「2022年の『知の泉』ではベートーヴェンの《テンペスト》と並び、初めてムソルグスキーの《展覧会の絵》を取り上げましたが、その3か月前に、ロシアのウクライナ侵攻が起こりました。最後に鳴り響く鐘の音に私たちは何を聴こうとするのか、それを問われたように思いました。

2018年にスタートした時には新型コロナウイルスの流行ということも予想できなかったですし、2020年に開催予定だった『音楽の十字架』というタイトルのリサイタルは2028年に延期となってしまいました。

そんな社会の大きな変化のなかで、演奏をする意味、自分がピアノを弾く意味を考えさせられた時期でもありました」

仲道郁代:近年の活動として最も注目されるのが、2027年までの10年に及ぶ「The Road to 2027リサイタル・シリーズ」。2021年秋に行なわれた当シリーズの「幻想曲の模様~心のかけらの万華鏡」公演は、令和3年度文化庁芸術祭「大賞」を受賞。これまで延べ2500回を超えるリサイタルを実施し、マゼール指揮ピッツバーグ響、パーヴォ・ヤルヴィ指揮ドイツ・カンマーフィル、バイエルン放送響等のソリストとして迎えられる。室内楽ではハーゲン弦楽四重奏団、ベルリン・フィル八重奏団等と日本ツアーを行なう。レコード・アカデミー賞受賞 CD を含む「ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ全集」や「モーツァルト:ピアノ・ソナタ集」他、60枚を超えるディスクをリリース。日本音楽コンクール第 1 位、ジュネーヴ国際音楽コンクール最高位、エリザベート王妃国際音楽コンクール第 5 位他、受賞歴多数。
(一社)音楽がヒラク未来代表理事、(一財)地域創造理事、桐朋学園大学教授、大阪音楽大学特任教授。オフィシャルウェブサイト https://www.ikuyo-nakamichi.com

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