圧巻パフォーマンスの源 第4回 NiiiiiAさん(MYNAME)<後編>
歌、ダンス、演奏……超人的な圧巻のパフォーマンスで我々を魅了してくれるステージ上のアーティストたち。類い稀な才能のみならず、そこには裏打ちされた確かな技術と並々ならぬ努力がある。本連載では、そんな海外アーティストにフォーカスし、彼らのパフォーマンスの源を探っていく。
今回のゲストは、前回に続いて韓国出身の男性ボーイズグループ「MYNAME」で、ソロアーティストとしても活躍中のNiiiiiAさん。卓越したヴォーカルに加え、作詞作曲もこなす。驚くことに、8月にリリースされたアルバム『2Years』は全曲日本語で歌詞が書かれている。インタビューも流暢な日本語で語ってくれる彼の秘密に迫る。
国立音楽大学演奏学科鍵盤楽器専修(ピアノ)卒業、同大学大学院修士課程器楽専攻(伴奏)修了を経て、同大学院博士後期課程音楽学領域単位取得。在学中、カールスルーエ音楽大学...
パフォーマンススキルの高さは 歌やダンスの練習量の多さにある
――デビューされたきっかけは何だったのでしょうか。
もともと歌手になろうと思っていたわけではなかったんです。洋服が好きだったので、何か洋服に携わる仕事をしたいと思っていたときに、たまたまソウルの街中を歩いていたところをスカウトしていただきました。
――そうなんですね。あれほどの圧倒的な歌唱力がおありなので意外です。
歌うこと自体は好きだったので、よくカラオケに行っては自分の歌を録音して、それを聴いたりしてはいましたね。でも、事務所に入ったら歌が上手な人がたくさんいてびっくりしました。だからといって、圧倒されて怯んだり、諦めたりすることはなく、むしろそこで自分なりに「もっと上手になりたい」とかなり頑張ったと思います。当時、1日8時間はボイストレーニングとダンスのレッスンをしていました。
――一昨日拝見したイベント「NiiiiiA ENCORE LIVE in JAPAN with HALLOWEEN EVENT」では、NiiiiiAさんのパフォーマンスの集中力が高くて一瞬で世界に引き込まれましたし、MCでもファンを楽しませようという気持ちが伝わってきて、ステージ全体の完成度の高さに感動しました。ほかのK-POPアーティストの方にも言えることなのかもしれませんが、パフォーマンスはもちろん、MCや演出などまで非常に完成度が高いですよね。
僕が知る限りでは、アイドルに関していえば、韓国は歌やダンスの練習量がとにかく多いので、おっしゃる通り世界的に見てもスキルは低くはないと思います。でも、日本のアイドルもパフォーマンスはすごいですし、何よりファンの方とのやりとりが素晴らしいですよね。日本のアイドルのみなさんは話がとても上手ですし、親しみやすさもあります。
韓国はとにかく“完璧”であることが求められるので、歌やダンスを魅せるのはもちろん、見た目もかっこよく、美しく見せるために、メイクも衣装も現実離れしているぐらい完璧に仕上げます。日本はむしろナチュラルな感じで、それはそれでとても素敵ですよね。なので、僕も今日はナチュラルメイクにしています(笑)。
――イベントでは、ファンのみなさんと都度コミュニケーションをとられていて、会場全体がとてもあたたかい空気に満ちていたのが印象的でした。それこそ、NiiiiiAさんがおっしゃる上手なトーク、親しみやすさがもたらしたものではないでしょうか。
そういっていただけると嬉しいです。今回のイベントは、これまでと違って会場のスペースが小さく、お客さんとの距離感が近くて特別なものでした(*)。こんなに近い距離で一人ひとりファンの方の顔をじっくり見ながら、パフォーマンスを披露したり、お話ししたりする機会はなかったので、とても嬉しかったです。また近いうちにこのようなイベントもやれたらいいなと思います。
そういえば、今回はやりませんでしたが、MCでギャグを入れることもあります。
*来場者は全員マスク着用、声は出さないなど感染症対策は徹底して開催されています。
――どのようなギャグを?(笑)
少し前に自分の中で流行っていたのは「ひょっこりはん」さんのネタです(笑)。来てくださったみなさんとの距離感を近くしたいという思いがとても強く、ギャグを入れるようにしています。
日本デビュー時から通訳なし。 苦労を乗り越えて今がある
――前回、8月にリリースされたアルバム『2Years』はすべて作詞作曲をご自身で手がけられたと伺いました。しかも日本語で。あまりにも流暢なので、このインタビュー中、何も思わずにお話を聞いてきたのですが、これってとんでもないことです……! 日本語はどのようにして身につけられたのですか?
「MYNAME」として2012年に日本デビューする1年前頃から、日本語の教材を使って勉強していました。結構自信をもって来日したのですが、いざ話してみるとネイティブの方々の日本語は速くて、なかなか理解できなくて大変でした。しかも、僕たちには通訳さんがいなかったので……(笑)。
――通訳さんがつかなかった⁉ オリコンランキングにもランクインされるほどの海外アーティストに通訳がつかないというのはかなり驚愕です……。
日本でデビューすると、最初の頃はショッピングモールなどのイベントスペースを含め、いろいろなイベントをやりますよね。通訳の方がいなかったので、イベントの前夜はメンバーでMCの練習も頑張ったんですよ。自分たちで台本を書いて、質問がきたらどう答えるかということまで準備をしていました。
最初はかなり大変でしたが、ファンやスタッフのみなさんとダイレクトにお話ししたいという気持ちが強かったですし、ステージに立つことが大好きだったので、メンバーたちと支え合いながらなんとかここまでこられました。この経験のおかげで成長することができたので、いまはそれでよかったと思っています。そのときのことを想って書いたのが《Tokyo Wind》という曲です。
ソロ活動に向けて改名した ”NiiiiiA”という名に込めた思い
――芸能界に入ってから印象に残っているエピソードはありますか?
それこそ韓国と日本での違いに驚きました。韓国では新曲リリースといえば“カムバック”で音楽番組に出演することがメインになります。日本にも音楽番組はありますが、基本的にはリリースイベントに出演することが多くて、ショッピングモールでパフォーマンスを披露するというのはかなりの衝撃でした。人との距離もものすごく近いですし、面白いなと思いました。
――“カムバック”では新曲リリースの際、短い期間でいろいろな活動をされますが、体調管理などはどうされているのでしょうか。
韓国では、音楽番組が毎日のように放送されているので、それだけでも膨大な量になります。そのため、風邪をひかないように気をつけたり、モチベーションを保つためにいろいろな人のステージをYouTube等で観ては「自分も頑張ろう!」という感じでモチベーションをアップさせたりして、乗り切るようにしています。
――NiiiiiAさんは「MYNAME」ではリーダーを務めていますが、これまでにプレッシャーやご苦労もあったのでは?
プレッシャーというのは特に感じたことはなかったように思います。リーダーとして、一人ひとりのメンバーの悩みを聞くようにしていました。寮で生活をしていたときには、よくメンバーが僕の部屋に話しに来ていましたね。僕を含めてメンバーが5人もいれば、それぞれの気持ちややりたいこともあるから、それをまとめるのはなかなか大変です。でも、話し合いを重ねることでお互いに理解が深まっていきましたし、みんなも僕も成長していったので、自分がリーダーということを意識することはほとんどなくなりました。
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