インタビュー
2026.03.18
2026年シーズン、ホールの個性が光る公演が続々と

ヤマハホール~アーティストの新しい一面に出会える場 ホール発のデュオ、トリオに注目

銀座の目抜き通りに位置するアクセスの便利なヤマハホールは、ヤマハ銀座店の7階にあります。国内外の多くのアーティストのすばらしいコンサートが開かれており、聴衆は日本人のみならず海外の旅行者が音楽を聴きに立ち寄るケースも増えているとか。当ホールのマーケティングを担当している山田美輪子さんに、2026年シーズンの注目公演を中心に、これまでの歩みや今後の方向性などについても伺いました。

取材・文
伊熊よし子
取材・文
伊熊よし子 音楽ジャーナリスト・音楽評論家

東京音楽大学卒業。レコード会社勤務、ピアノ専門誌「ショパン」編集長を経てフリーに。クラシック音楽をより幅広い人々に聴いてほしいとの考えから、音楽専門誌に限らず、新聞、...

ヤマハホールのマーケティングを担当する山田美輪子さん
撮影:ヒダキトモコ

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アーティストにとって新たな挑戦の場となるホール

山田「ヤマハホールはアーティストにとって新たな挑戦の場となっています。というのは、ヤマハのブランドプロミス“Make Waves=心震える瞬間を創り出すこと”を第一に、初めての曲目や内容に挑む場として活用していただくことに主眼を置いているからです。

今シーズンでは、ピアノのシャルル・リシャール=アムランさん(4/24)阪田知樹さん(5/13)のお二人が、いまこのホールでもっとも弾きたい作品を選び、演奏されることになっています(両演奏会ともにチケット完売)

アムランさんは、当社のコンサートグランドピアノ「CFX」をこよなく愛してくださっています。阪田さんは今回10年ぶりの登場となり、リストをメインにプログラムを組み、新たな挑戦をされます」

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タロー&児玉桃、成田達輝&伊藤悠貴&福間洸太朗~ヤマハホールならではの組み合わせ

山田「シーズンを通してピアノがメインの企画が多いのですが、児玉桃さんとアレクサンドル・タローさんの2台ピアノによる演奏にも注目していただきたいです9/26。お二人は学生時代からの友人で、“ヤマハホールでデュオができれば素敵だな”との提案で実現しました。ソロ作品も演奏されます。

左から、アレクサンドル・タロー ©Marco Borggreve、児玉桃 ©Lyodoh Kaneko
2人は9月26日にデュオ・リサイタルを開催。2台ピアノではラヴェル《ラ・ヴァルス》やドビュッシー、プーランク、シャブリエの作品が、ソロではフォーレ、シャブリエ、ラヴェル、ドビュッシーの作品が予定されている

ヴァイオリンの成田達輝さん、チェロの伊藤悠貴さん、ピアノの福間洸太朗さんはこのホールで初めて組んだトリオで、それ以来人気が出ました11/26。昼間のシリーズで、より気軽に来場いただけるよう開演前のレクチャーや終演後のパーティーなどがあり、「エレガント・タイム・コンサート」と名づけています。

このシリーズでは、チェロの宮田大さんが長年ともに演奏しているピアノのジュリアン・ジェルネさんとのデュオも行なわれますが、これはとても楽しみなコンサートになっています(7/13)。プログラムは、サン=サーンス《白鳥》、フォーレ《愛の歌》、サン=サーンス「チェロ・ソナタ第1番」、ガーシュウィン《パリのアメリカ人》、J.ウィリアムズ《John Williams Fantasy Trip》など、チェロとピアノのさまざまな対話が楽しめる構成になっています。期待していただきたいですね」

7月13日、ピアノのジュリアン・ジェルネとエレガント・タイム・コンサートに登場する宮田大 ©日本コロムビア

ホール自体が1つの楽器

ヤマハホールの特徴は、「アコースティック楽器に最適で豊かな響きを持つホール」として、楽器メーカーならではの技術を集めた音響設計を施しているところ。楽器製作に使用する木材を使用し、“ホールが1つの楽器”というコンセプトのもと、アコースティック楽器同様に時を経てよりよい響きになればという想いが込められている。

山田「ヤマハホールは自社による音響設計で、ヤマハ社内の技術者が行なっています。木材がふんだんに使用されているのが大きな特徴で、ホール側壁はマホガニー(例:ピアノ、ギター)、天井はメープル(例:ヴァイオリン、ギター、ドラム)、舞台床はA.R.E.加工ひのき、客席床は花梨(例:シロフォンなど)が使用されています。

このA.R.E.とは、短期間で木材を熟成させ、長年使い込まれた楽器のような深みのある音を実現するように変化させる改質技術のことです。薬剤等をいっさい使用しない、環境負荷の低さも特徴です。ホールにいらしたら、ぜひホール全体を見回して、さまざまな木材を見ていただきたいと思います。異なった木材の特徴が音響に影響しているのを体感してもらえるのではないでしょうか。

アーティストの方々もこのホールはお客様との距離が近く、音響的にも何の心配もなく思いっきり演奏でき、木のぬくもりを感じるとおっしゃってくださいます」

ホール内は楽器用の木材がふんだんに使用されている。ホールを訪れたら、壁や天井、床等でそれぞれ異なる木材にもぜひ注目してほしい

五感を刺激するさまざまな体験が待っている

近年では自動演奏機能付きピアノ「Disklavier」を活用し、遠隔地、ヤマハ・ミュージック・ロンドンと結んだ生配信演奏会なども実施しており、その可能性を今後も目指しているという。

さらにユニークな企画として、2階のカフェラウンジで「ヤマハホール公演コラボイベント」を実施している。これは「エレガント・タイム・コンサート」の終演後、アーティストとともに楽しむパーティ(トークショー)で、事前に募集した参加者(パーティ付き公演チケットを販売し、約30名が参加)からの質問やメッセージにアーティストが答える形式。人気が高いゆえ、抽選販売となっているそうだ。

アフターパーティと呼ばれる出演アーティストのトークショーでは、カフェでスイーツとドリンクも楽しめる。人気企画なので、発売情報をチェックしよう(写真は昨年の様子:アフターパーティで話す福間洸太朗)

山田「ヤマハホールのコンサートは、観客、アーティストともに“Make Waves心震える瞬間を創り出すこと”という、ヤマハのフィロソフィーを体現する体験が凝縮されていると思っています」

1階のカフェスタンドでは特製どら焼きやおせんべいも販売。全館が五感を刺激する場となっている。

ヤマハ銀座店。ヤマハホールはこの7~9階にある
ヤマハホール

[運営]ヤマハ(株)

[座席数]333席

[オープン]1953年

[住所]〒104-0061 東京都中央区銀座7-9-14

[問い合わせ]Tel.03-3572-3171(ヤマハ銀座店 インフォメーション)

取材・文
伊熊よし子
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伊熊よし子 音楽ジャーナリスト・音楽評論家

東京音楽大学卒業。レコード会社勤務、ピアノ専門誌「ショパン」編集長を経てフリーに。クラシック音楽をより幅広い人々に聴いてほしいとの考えから、音楽専門誌に限らず、新聞、...

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