「ピアノ三重奏曲変ロ長調《街の歌》クラリネット版」——ウィーンの流行歌を終楽章に
生誕250年にあたる2020年、ベートーヴェン研究の第一人者である平野昭さん監修のもと、1日1曲ベートーヴェン作品を作曲年順に紹介する日めくり企画!
仕事終わりや寝る前のひと時に、楽聖ベートーヴェンの成長・進化を感じましょう。
1792年、22歳のベートーヴェンは故郷ボンを離れ、音楽の中心地ウィーンに進出します。【天才ピアニスト時代】では、ピアニストとして活躍したウィーン初期に作曲された作品を紹介します。
東京・神楽坂にある音楽之友社を拠点に、Webマガジン「ONTOMO」の企画・取材・編集をしています。「音楽っていいなぁ、を毎日に。」を掲げ、やさしく・ふかく・おもしろ...
ウィーンの流行歌を終楽章に「ピアノ三重奏曲変ロ長調《街の歌》クラリネット版 」
「街の歌(Gassenhauer ガッセンハウアー)」という愛称の原意は「横町の流し」から転意した「流行歌」ということですが、この主題変奏がそれだけ流行っていたということです。この三重奏曲の終楽章の主題にされた曲は《船乗りの恋、あるいは海賊》というオペラの中の1曲で、「仕事に行く前に、ちょっと腹ごしらえ」という内容なのです。1797年10月15日にウィーンで初演されたオペラです。
――小山実稚恵、平野昭著『ベートーヴェンとピアノ「傑作の森」への道のり』(音楽之友社)50ページより
クラリネット、チェロとピアノのための作品です。オペラ《船乗りの恋、あるいは海賊》は、当時のウィーン宮廷楽長ヨゼフ・ヴァイグル(1766-1846)の作品。現在では上演されなくなってしまいましたが、ベートーヴェンによって、そのメロディは不滅のものになりました。
明日(4月7日)は、同時に出版されたヴァイオリン、チェロとピアノのための編曲版であるピアノトリオ第4番をご紹介します。
ピアノ三重奏曲変ロ長調《街の歌》op.11
作曲年代:1797年(原曲)、98年(編曲)(ベートーヴェン27、28歳)
出版:1798年10月
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