「ゲレルトの詩による6つの歌(リート)」——伯爵夫人の死に際して出版された歌曲集
生誕250年にあたる2020年、ベートーヴェン研究の第一人者である平野昭さん監修のもと、1日1曲ベートーヴェン作品を作曲年順に紹介する日めくり企画!
仕事終わりや寝る前のひと時に、楽聖ベートーヴェンの成長・進化を感じましょう。
1792年、22歳のベートーヴェンは故郷ボンを離れ、音楽の中心地ウィーンに進出します。【天才ピアニスト時代】では、ピアニストとして活躍したウィーン初期に作曲された作品を紹介します。
東京・神楽坂にある音楽之友社を拠点に、Webマガジン「ONTOMO」の企画・取材・編集をしています。「音楽っていいなぁ、を毎日に。」を掲げ、やさしく・ふかく・おもしろ...
伯爵夫人の死に際して出版された歌曲集「ゲレルトの詩による6つの歌(リート)」
裕福な伯爵ヨハン・ゲオルク・フォン・ブロウネ=カミュは妻アンナ・マルガレーテ(1769~1803、旧姓ミュニッヒ伯爵令嬢)とともに、1794年暮れ頃にウィーン駐在ロシア上級将校として赴任し、その財力もあって、ウィーン貴族界でも目立った存在となった。
初期の歌曲作品中でも特に重要な作品である《ゲレルトによる6つの歌》Op48を、3年がかりで1802年3月に完成させているのだが、これを伯爵夫人アンナ・マルガレーテの逝去(1803年5月13日)の後に出版(8月)し、これを伯爵に献呈している。
——小山実稚恵、平野昭著『ベートーヴェンとピアノ「傑作の森」への道のり』(音楽之友社)94ページより
この作品は6つの歌曲からなり、それぞれ「祈り」「隣人の愛」「死について」「自然における神の栄光」「神の力と摂理」「懺悔の歌」というタイトルが付けられています。
ウィーンにおける重要なパトロンであった伯爵夫人アンナ・マルガレーテ。作曲自体は存命中に進められていますが、詩の内容と相まって、出版にあたってはベートーヴェンも思う所があったのではないでしょうか。
「ゲレルトの詩による6つの歌(リート)」Op.48
第1曲:祈り、第2曲:隣人の愛、第3曲:死について、第4曲:自然における神の栄光、第5曲:神の力と摂理、第6曲:懺悔の歌
作曲年代:1798年末〜1802年3月(ベートーヴェン28歳〜31歳)
出版:1803年
作詞:Chr.F.ゲレルト
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