「ヴァイオリン・ソナタ第7番 ハ短調」——《運命》との共通点をもつドラマティックな作品
生誕250年にあたる2020年、ベートーヴェン研究の第一人者である平野昭さん監修のもと、1日1曲ベートーヴェン作品を作曲年順に紹介する日めくり企画!
仕事終わりや寝る前のひと時に、楽聖ベートーヴェンの成長・進化を感じましょう。
1800年、30歳になったベートーヴェン。音楽の都ウィーンで着実に大作曲家としての地位を築きます。【作曲家デビュー・傑作の森】では、現代でもお馴染みの名作を連発。作曲家ベートーヴェンの躍進劇に、ご期待ください!
東京・神楽坂にある音楽之友社を拠点に、Webマガジン「ONTOMO」の企画・取材・編集をしています。「音楽っていいなぁ、を毎日に。」を掲げ、やさしく・ふかく・おもしろ...
《運命》との共通点をもつドラマティックな作品「ヴァイオリン・ソナタ第7番 ハ短調」
この年(1802年)の10月に、いわゆる『ハイリゲンシュタットの遺書』が書かれるが、この遺書は難聴の苦悩による絶望を克服した新しい創作生活に入る宣言とも解釈される。前年の実験的ソナタ期からドラマティック・ソナタ期への転換期となっており、そうした特性がこれらの作品に現れている。とりわけ作品30-2「ハ短調」は驚くほどドラマティックな表情をもつ音楽となっている。「ハ短調」作品はすでにピアノ・ソナタ(第5番)作品10-1と同(第8番)作品13《悲愴》が書かれているが、それらと共通する長三度下の「変イ長調」による第2楽章が設定されている。この流れはやがて「ハ短調」交響曲第5番《運命》にまで受け継がれてゆく。
——平野昭著 作曲家◎人と作品シリーズ『ベートーヴェン』(音楽之友社)25ページより
3つのヴァイオリン・ソナタOp30の中で唯一、短調のこの作品は、ドラマティックで表情豊かに書かれています。第2楽章に「変イ長調」を使用する「ハ短調」作品という点で、ピアノ・ソナタ《悲愴》や、有名な「交響曲第5番《運命》」と共通しているそう。ジャンルの垣根を超えて、「調性」からベートーヴェンの作品を楽しむのも面白いかもしれません。
「ヴァイオリン・ソナタ第7番 ハ短調」Op.30-2
作曲年代:1801年〜02年春(ベートーヴェン31歳頃)
出版:1803年5月と6月
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