「交響曲第3番変ホ長調《英雄》第4楽章」——ロプコヴィツ侯に献呈された作品の壮大なフィナーレ
生誕250年にあたる2020年、ベートーヴェン研究の第一人者である平野昭さん監修のもと、1日1曲ベートーヴェン作品を作曲年順に紹介する日めくり企画!
仕事終わりや寝る前のひと時に、楽聖ベートーヴェンの成長・進化を感じましょう。
1800年、30歳になったベートーヴェン。音楽の都ウィーンで着実に大作曲家としての地位を築きます。【作曲家デビュー・傑作の森】では、現代でもお馴染みの名作を連発。作曲家ベートーヴェンの躍進劇に、ご期待ください!
東京・神楽坂にある音楽之友社を拠点に、Webマガジン「ONTOMO」の企画・取材・編集をしています。「音楽っていいなぁ、を毎日に。」を掲げ、やさしく・ふかく・おもしろ...
ロプコヴィツ侯に献呈された作品の壮大なフィナーレ「交響曲第3番変ホ長調《英雄》第4楽章」
(1805年)4月7日、日曜の夜にアン・デア・ウィーン劇場で《エロイカ》が公開初演された。プログラムには「ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン氏による新作の大交響曲、嬰ニ長調(当時の習慣では変ホ長調を嬰ニ長調と呼ぶこともあった)、ロプコヴィツ侯爵に献呈、作曲者自身による指揮」と記されている。つまり、(1806年10月の)初版譜出版以前にこの作品がロプコヴィツ侯に献呈されることが公にされていたということだ。
——平野昭著 作曲家◎人と作品シリーズ『ベートーヴェン』(音楽之友社)81ページより
昨日、ロプコヴィツ宮殿のコンサート・ホールで何度か試演会が開かれていたことをご紹介しました。改訂の末に完成した「交響曲第3番 変ホ長調《英雄》」作品55は、ロプコヴィツ侯爵に贈られることとなったのです。ベートーヴェンの感謝の念が込められているのですね。
変ホ長調(Es-Dur)を、異名同音の嬰ニ長調(Dis-Dur)と呼ぶ当時の習慣も面白いですね。
華やかに始まりすぐに穏やかになるなど、目まぐるしい展開する《英雄》交響曲のフィナーレをお楽しみください。
作曲年代:1803年(ベートーヴェン32〜33歳頃)
初演:1805年4月7日
出版:1806年10月美術工芸社(ウィーン)
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