「希望に寄せて」——ベートーヴェンの恋心が乗せられた歌曲
生誕250年にあたる2020年、ベートーヴェン研究の第一人者である平野昭さん監修のもと、1日1曲ベートーヴェン作品を作曲年順に紹介する日めくり企画!
仕事終わりや寝る前のひと時に、楽聖ベートーヴェンの成長・進化を感じましょう。
1800年、30歳になったベートーヴェン。音楽の都ウィーンで着実に大作曲家としての地位を築きます。【作曲家デビュー・傑作の森】では、現代でもお馴染みの名作を連発。作曲家ベートーヴェンの躍進劇に、ご期待ください!
東京・神楽坂にある音楽之友社を拠点に、Webマガジン「ONTOMO」の企画・取材・編集をしています。「音楽っていいなぁ、を毎日に。」を掲げ、やさしく・ふかく・おもしろ...
ベートーヴェンの恋心が乗せられた歌曲「希望に寄せて」
(交響曲《英雄》も初演の加え)1805年の春にベートーヴェンの心を高ぶらせていたもうひとつはヨゼフィーネへの恋心であった。ヨゼフィーネは3月24日に母親に宛てた手紙で「素敵なベートーヴェンが私に愛らしいリートを贈ってくれました。詩集『ウラーニア』から選んだ《希望に寄せて》によるリートを私のために作曲してくれました」と喜びを語っている。
ティートゲはベートーヴェンにとっても重要な歌曲のテキスト作家で、1805年作曲の《希望に寄せて》作品32の話や彼の代表的詩集『ウラーニア』などについて歓談を楽しんでいたが、9月早々に同行していた内縁の妻で女流詩人でもあったエリーザベト・フォン・デア・レッケ(1754〜1833、愛称エリーザ)と共にドレスデンに帰郷してしまった。ベートーヴェン はもう少し交流を深めたかったのか9月6日に手紙を書いている(BB521)。
——平野昭著 作曲家◎人と作品シリーズ『ベートーヴェン』(音楽之友社)25ページより
ベートーヴェンにとって重要な人物であるティートゲ。彼が書いた詩に作曲した「希望に寄せて」は、かつて恋心を抱いていたというヨゼフィーネに贈られています。
その喜びを手紙で母親に伝えたという彼女とは、どんな感情をベートーヴェンに抱いていたのでしょうか。思わず、恋心を想像してしまうような、暖かい作品です。
「希望に寄せて」Op.32
作曲年代:1805年3月以前
出版:1805年9月
詞:Chr.A.ティートゲ
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