「交響曲第4番 変ロ長調」第4楽章——公開初演と後世の反応
生誕250年にあたる2020年、ベートーヴェン研究の第一人者である平野昭さん監修のもと、1日1曲ベートーヴェン作品を作曲年順に紹介する日めくり企画!
仕事終わりや寝る前のひと時に、楽聖ベートーヴェンの成長・進化を感じましょう。
1800年、30歳になったベートーヴェン。音楽の都ウィーンで着実に大作曲家としての地位を築きます。【作曲家デビュー・傑作の森】では、現代でもお馴染みの名作を連発。作曲家ベートーヴェンの躍進劇に、ご期待ください!
東京・神楽坂にある音楽之友社を拠点に、Webマガジン「ONTOMO」の企画・取材・編集をしています。「音楽っていいなぁ、を毎日に。」を掲げ、やさしく・ふかく・おもしろ...
公開初演と後世の反応「交響曲第4番 変ロ長調」第4楽章
4日連続でご紹介している交響曲第4番。昨日ご紹介した私的初演の半年後に公開初演、すぐに再演もされたようです。
オーケストラの質的向上のために指揮をクレメントに依頼することで、いわゆるリープハーバー・コンツェルトLiebhaberkonzert(愛好家演奏会)が発足し、1807年から08年にかけての冬のコンサート・シーズンに約20回の演奏会が開催された。
この愛好家演奏会でベートーヴェンの作品も数多く演奏されている。主にベートーヴェン自身が指揮したと思われ(中略)1808年1月には交響曲第4番が演奏されている。この交響曲第4番は前年の11月15日に、ブルク劇場で行われた慈善演奏会でベートーヴェン自身の指揮で初演されていた。
——平野昭著 作曲家◎人と作品シリーズ『ベートーヴェン』(音楽之友社)99ページより
この曲の後に書かれた第5番《運命》、第6番《田園》、ドラマや映画でも有名になった第7番や《第九》に比べると、第4番は知名度として一歩及ばないかもしれません。しかし、後世の作曲家メンデルスゾーンは、この曲を気に入り自筆譜を所有するほどでした。ベルリオーズも自著の中で「全体として活気があり、機敏で、陽気、そして天上の優しさをもっている」と称えました。
平野さんは、ロベルト・シューマンが語った交響曲第4番についての批評に対し、このように書いています。
「北国の2人の巨人(《英雄》と《運命》)に挟まれた可憐なギリシャの乙女」とシューマンに評された美しい音楽かもしれないが、そんな華奢な音楽ではない。
——平野昭『ベートーヴェン 革新の舞台裏:創作現場へのタイムトラベル』(音楽之友社)9ページより
作品の冒頭には、当時作曲を一時中断していた「ハ短調交響曲」つまり《運命》との関連性も見えてくるそうです。みなさんもぜひ、この作品の魅力を発見してみてください。
「交響曲第4番 変ロ長調」op.60
作曲年代:1806年(ベートーヴェン36歳)
出版:1808年美術工芸社(ウィーン)
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