「恋人が別れたいと思ったとき」——大作に挟まれた感情豊かな歌曲
生誕250年にあたる2020年、ベートーヴェン研究の第一人者である平野昭さん監修のもと、1日1曲ベートーヴェン作品を作曲年順に紹介する日めくり企画!
仕事終わりや寝る前のひと時に、楽聖ベートーヴェンの成長・進化を感じましょう。
1800年、30歳になったベートーヴェン。音楽の都ウィーンで着実に大作曲家としての地位を築きます。【作曲家デビュー・傑作の森】では、現代でもお馴染みの名作を連発。作曲家ベートーヴェンの躍進劇に、ご期待ください!
東京・神楽坂にある音楽之友社を拠点に、Webマガジン「ONTOMO」の企画・取材・編集をしています。「音楽っていいなぁ、を毎日に。」を掲げ、やさしく・ふかく・おもしろ...
大作に挟まれた感情豊かな歌曲「恋人が別れたいと思ったとき」
フランソア・ブノアのフランス語の詩を、ベートーヴェンの親友シュテファン・ブロイニングが自由にドイツ語訳した直後の1806年5月ころに作曲。
「最後の希望の光が消えてゆく、彼女は気まぐれな気持ちで誓いをすべて破った。せめてもの慰めとして、僕がとても幸福だったときの思いよ、消え去ってくれ」。しかし、「優しい希望を戻ってこい」とも、また「絶望の淵にあっても、思い出は甘美だ」とも苦悩する。そして「君を恨むことはできない、だから忘れる! 忘れる? いや、それより前に苦悩で死んでしまうだろう」。
変ホ長調、4分の4拍子、非常に速く。力強い、主和音の一撃で始まる。
解説: 平野昭
弦楽四重奏や交響曲など、大作に挟まれるように作曲された、とても短い歌曲です。しかし、感情の移り変わりが激しい歌詞に合わせて、自在に変化するメロディにはベートーヴェンの技術が詰まっています。前後の大作と併せて聴いてみてください。
「恋人が別れたいと思ったとき」WoO132
作曲年代:1806年5月(ベートーヴェン36歳)
出版:1809年11月22日
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