「ファンタジー ロ長調」——アカデミーで披露した即興演奏を基にした作品
生誕250年にあたる2020年、ベートーヴェン研究の第一人者である平野昭さん監修のもと、1日1曲ベートーヴェン作品を作曲年順に紹介する日めくり企画!
仕事終わりや寝る前のひと時に、楽聖ベートーヴェンの成長・進化を感じましょう。
1800年、30歳になったベートーヴェン。音楽の都ウィーンで着実に大作曲家としての地位を築きます。【作曲家デビュー・傑作の森】では、現代でもお馴染みの名作を連発。作曲家ベートーヴェンの躍進劇に、ご期待ください!
東京・神楽坂にある音楽之友社を拠点に、Webマガジン「ONTOMO」の企画・取材・編集をしています。「音楽っていいなぁ、を毎日に。」を掲げ、やさしく・ふかく・おもしろ...
アカデミーで披露した即興演奏を基にした作品「ファンタジー ロ長調」
本日ご紹介する「ファンタジー ロ長調」作品77は、「交響曲第6番 へ長調《田園》」作品68が初演されたときのアカデミーが、作曲のきっかけとなったと見られています。1808年12月17日の『ウィーン新聞』に掲載された広告を見てみましょう。
広告には第1部:1、交響曲《田舎の生活の思い出》と題するヘ長調、2、アリア、3、ラテン語テキストによる賛歌、合唱と独唱を伴う教会様式の作品、4、ピアノフォルテ協奏曲、本人独奏。第2部:1、大交響曲、ハ短調、2、ラテン語テキストによる聖歌、合唱と独唱を伴う教会様式の作品、3、ピアノフォルテ独奏ファンタジア、4、ピアノフォルテのためのファンタジア、次第に全オーケストラが加わって、その後終曲に合唱が加わると案内されている。後半3曲目のピアノフォルテ独奏ファンタジアに相当する作品はなく、おそらくベートーヴェンのピアノ即興演奏であったと思われる。あるいは、この即興を基にして後日作品77の《幻想曲》が書かれたのかもしれない。
——平野昭著 作曲家◎人と作品シリーズ『ベートーヴェン』(音楽之友社)102ページより
アカデミー第2部で演奏されるとあるピアノフォルテ独奏ファンタジア。「ファンタジー ロ長調」作品77は、このときの即興を基にして書かれているそう。自由で軽やかな旋律が印象的です。
「ファンタジー ロ長調」Op.77
作曲年代:1809年(ベートーヴェン38歳)
出版:1810年
開始部はト短調
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