「6つの歌(ゲザング)第6曲《満ち足りた男》」——素晴らしい友をもった喜びを歌う
生誕250年にあたる2020年、ベートーヴェン研究の第一人者である平野昭さん監修のもと、1日1曲ベートーヴェン作品を作曲年順に紹介する日めくり企画!
仕事終わりや寝る前のひと時に、楽聖ベートーヴェンの成長・進化を感じましょう。
1800年、30歳になったベートーヴェン。音楽の都ウィーンで着実に大作曲家としての地位を築きます。【作曲家デビュー・傑作の森】では、現代でもお馴染みの名作を連発。作曲家ベートーヴェンの躍進劇に、ご期待ください!
東京・神楽坂にある音楽之友社を拠点に、Webマガジン「ONTOMO」の企画・取材・編集をしています。「音楽っていいなぁ、を毎日に。」を掲げ、やさしく・ふかく・おもしろ...
素晴らしい友をもった喜びを歌う「6つの歌(ゲザング)第6曲《満ち足りた男》」
Chr.L.ライシッヒの詩によってベートーヴェンは1809年に5曲の歌曲のを作曲しているが、これもその1曲。Op.75の第5曲《遥かな恋人に》と同様に、この詩もライシッヒが1809年7月出版した『孤独の小さな花』と題した詩集に含まれている。
「幸運は私を裕福にも偉人にもしてくれなかったが、私はそれでも満足している。素晴らしい運に恵まれたように、私の心に完全に叶ったひとりの友人に恵まれたのだ。キスして、酒を酌み交わし、冗談を言い合う、それも彼の本領なのだ」そして、最後は「もしもこの人生で悲しいことが起きようとも、私はこう考えるのだ、どんなバラでも棘をもたずに咲くものはないと」。楽譜にはドイツ語表記で「喜ばしく、快活に、そして、幾分生き生きと」とある。
解説: 平野昭
身の丈の幸せを謳う素晴らしい歌詞に、ベートーヴェンが書いた弾むようなリズム。眉間にしわを寄せた楽聖のイメージからすると意外な感じもします。平野さんも、ベートーヴェンの冗談・ダジャレ好きを強調していますし、思っているよりずっと気さくな人物だったのかもと思わせる一曲です。
「6つの歌(ゲザング)第6曲《満ち足りた男》」op.75-6
作曲年代:1809年(ベートーヴェン38歳)
出版:1810年 8月
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