「祝典劇《アテネの廃墟》」——有名なトルコ行進曲も登場! 新劇場の柿落としで披露
生誕250年にあたる2020年、ベートーヴェン研究の第一人者である平野昭さん監修のもと、1日1曲ベートーヴェン作品を作曲年順に紹介する日めくり企画!
仕事終わりや寝る前のひと時に、楽聖ベートーヴェンの成長・進化を感じましょう。
1800年、30歳になったベートーヴェン。音楽の都ウィーンで着実に大作曲家としての地位を築きます。【作曲家デビュー・傑作の森】では、現代でもお馴染みの名作を連発。作曲家ベートーヴェンの躍進劇に、ご期待ください!
東京・神楽坂にある音楽之友社を拠点に、Webマガジン「ONTOMO」の企画・取材・編集をしています。「音楽っていいなぁ、を毎日に。」を掲げ、やさしく・ふかく・おもしろ...
有名なトルコ行進曲も登場! 新劇場の柿落としで披露「祝典劇《アテネの廃墟》」
フランツ皇帝は1808年以来、ハンガリーのオーフェン(現ペスト)にドイツ劇場を開設する考えをもっていたが、ようやく落成のめどが立ち、この年の10月4日に柿落としをすることにした。国立劇場建設準備局はハンガリーに相応しい祝典劇の書き下ろしを、宮廷劇作家コッツェブーに依頼した。コッツェブーはオムニバス形式の三部作を書きおろした。フォアシュピール(前劇)として『シュテファン王、あるいはハンガリー最初の善政者』、中心劇として『ベーラの脱出』、そしてナッハシュピール(後劇)として『アテネの廃墟』の三部作である。しかし、当局は『ベーラの脱出』は皇帝の逃亡を思わせるものがあるとし、中心劇を省略した二部作として採用し、音楽付けをベートーヴェンに依頼してきたのである。
——平野昭著 作曲家◎人と作品シリーズ『ベートーヴェン』(音楽之友社)123ページより
本日と明日でご紹介する作品は、祝典劇のために書かれたものです。以前ベートーヴェンが書いた劇付随音楽は《コリオラン》と《エグモント》ですが、どちらも悲劇作品でした。祝典劇《アテネの廃墟》作品113はナッハシュピール(後劇/劇的な作品の後に上演されるコメディ)とのことですので、華々しく柿落とし公演を締めくくったに違いありません。
ちなみに劇中には、ピアノ曲《トルコ行進曲》として親しまれている曲も登場(音源中5曲目)します。ピアノ版よりもさらに行進曲らしさが感じられる管弦楽版は、必聴です。
「祝典劇《アテネの廃墟》」Op.113
作曲年代:1811年8月20日〜9月10日(ベートーヴェン40歳)
初演:1812年2月9日
出版:1823年(序曲のみ)、1846年(全曲)
A. コッツェブー原作の祝典劇
ペストに新設の劇場杮落・開幕劇
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