「交響曲第8番 へ長調 第3楽章」——ベートーヴェン人気が高まるなか、大編成で初披露!
生誕250年にあたる2020年、ベートーヴェン研究の第一人者である平野昭さん監修のもと、1日1曲ベートーヴェン作品を作曲年順に紹介する日めくり企画!
仕事終わりや寝る前のひと時に、楽聖ベートーヴェンの成長・進化を感じましょう。
1800年、30歳になったベートーヴェン。音楽の都ウィーンで着実に大作曲家としての地位を築きます。【作曲家デビュー・傑作の森】では、現代でもお馴染みの名作を連発。作曲家ベートーヴェンの躍進劇に、ご期待ください!
東京・神楽坂にある音楽之友社を拠点に、Webマガジン「ONTOMO」の企画・取材・編集をしています。「音楽っていいなぁ、を毎日に。」を掲げ、やさしく・ふかく・おもしろ...
ベートーヴェン人気が高まるなか、大編成で初披露!「交響曲第8番 へ長調 第3楽章」
1813年暮れ、交響曲第7番の初演をメインとしたコンサートは大盛況となり、年が明けても聴衆のベートーヴェン熱が冷めることはありませんでした。
ベートーヴェン人気は高まる一方で、2月27日の日曜日にも大レドゥーテンザール初演曲を含む受益コンサートが開かれた。ベートーヴェンの生涯において最も大きな編成のオーケストラによって交響曲第7番の再演、交響曲第8番の公開初演、人気の《ウェリントンの勝利》オーケストラ伴奏によるソプラノ、テノール、バスによる三重唱《おののけ、背徳者よ》作品116の改訂初演であった。オーケストラ編成は第1ヴァイオリン=18、第2ヴァイオリン=18、ヴィオラ=14、チェロ=12、コントラバス=7、コントラファゴット(コントラバス 声部補強)=2、管楽器は2管×2の、いわゆる倍音編成であった。単純計算しても96人にもなる。当時の常識的なシンフォニー・オーケストラの4倍から5倍にも相当する大編成だ。
ベートーヴェン人気は《ウェリントンの勝利》だけに向けられたものではなく、むしろ、《運命》《田園》以来4年ぶりの新作交響曲2曲に対する称賛であった。これ以後ウィーンではベートーヴェン自身ではなく、第三者の主催するコンサートでもベートーヴェン作品が競って取り上げられるようになった。
——平野昭著 作曲家◎人と作品シリーズ『ベートーヴェン』(音楽之友社)139、140ページより
1814年2月27日、交響曲第7番と第8番が同時に披露され、さらに人気曲である《ウェリントンの勝利》からの三重唱も演奏されました。とても豪華なプログラムですね。また、オーケストラの人数も豪華だったようです。現代でも、ベートーヴェン作品がこの規模で演奏されることは少ないのではないでしょうか。
ファンも待ちに待った新作交響曲。しかしこの次の新作まで、ファンはさらに長い期間待つことになります。明日、第4楽章とともにみてみましょう。
「交響曲第8番 へ長調」Op.93
作曲年代:1812年(ベートーヴェン41歳)
初演:1814年2月27日
出版:1817年春S.A.シュタイナー社(ウィーン)
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