プレイリスト
2020.10.24
おやすみベートーヴェン 第314夜【不滅の恋人との別れ】

歌曲「山からの呼び声」——《フィデリオ》決定稿の台本作家による詩に作曲

生誕250年にあたる2020年、ベートーヴェン研究の第一人者である平野昭さん監修のもと、1日1曲ベートーヴェン作品を作曲年順に紹介する日めくり企画!
仕事終わりや寝る前のひと時に、楽聖ベートーヴェンの成長・進化を感じましょう。

ウィーン会議、ナポレオンの没落......激動のウィーンで43歳になったベートーヴェン。「不滅の恋人」との別れを経て、スランプ期と言われる時期を迎えますが、実態はどうだったのでしょう。

ONTOMO編集部
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東京・神楽坂にある音楽之友社を拠点に、Webマガジン「ONTOMO」の企画・取材・編集をしています。「音楽っていいなぁ、を毎日に。」を掲げ、やさしく・ふかく・おもしろ...

監修:平野昭
イラスト:本間ちひろ

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《フィデリオ》決定稿の台本作家による詩に作曲 歌曲「山からの呼び声」

《フィデリオ》決定稿の台本作家として知られるフリードリヒ・トライチュケ(1776~1842)の6節の詩に、1816年の暮れに作曲。

 

やや生き生きと(ドイツ語)、イ長調、8分の3拍子の歌曲。

 

4小節の前奏のあとに、第1節から第5節までは15小節の有節形式で反復するが、最後の第6節「たしかに、小川と星々は先へ先へと進み、風と小鳥たちは遠くから君のところにやってくる。なのに、僕だけがここに縛り付けられ、泣いている」だけに少し変化したメロディーが付けられている。第5節までの大意は「もし僕が鳥だったら、そして2つの翼をもっていれば、君のところにとんでゆくのに、でも、そんなことはありえない」そして、「もし僕が星だったら」「もし僕が小川だったら」と同じ気持ちを繰り返している。

解説: 平野昭

トライチュケが執筆したベートーヴェン作品といえば、《フィデリオ》決定稿のほかに「トライチュケのジングシュピール《凱旋門》への終曲合唱《成就せり》」や「トライチュケのジングシュピール《良い知らせ》への終曲合唱〈ゲルマーニア〉」もありましたね。

劇作家として活躍したトライチュケですが、今日は少し趣の異なる「もし僕が星だったら」「もし僕が小川だったら」という詩を味わってみてください。

作品紹介

歌曲「山からの呼び声」 WoO147

作曲年代:1816年(ベートーヴェン46歳)

出版:1817年6月

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