ピアノ協奏曲第1番Op.11――ワルシャワを発つ1年前に作曲し演奏会のレパートリーに
ショパンの作品を全曲聴いてみよう! ショパン自身がつけた作品番号順に聴くことで、ショパンの“設計図”が見えてきます。
東京・神楽坂にある音楽之友社を拠点に、Webマガジン「ONTOMO」の企画・取材・編集をしています。「音楽っていいなぁ、を毎日に。」を掲げ、やさしく・ふかく・おもしろ...
ピアノ協奏曲第1番Op.11
そうはいっても、ワルシャワでの最終年もあいかわらず社交界のための音楽も作りつづけた。(中略)《ピアノ協奏曲》ヘ短調・作品21は、それまでの二つのピアノとオーケストラのための作品と同じように、演奏会で注目されるヴィルトゥオーゾに最適のものとして作ったつもりだった。この傾向をさらに強く感じさせるのが、ポーランドを出る1年前に作曲された《ピアノ協奏曲》ホ短調・作品11だった。
——小坂裕子著 作曲家◎人と作品シリーズ『ショパン』(音楽之友社)38ページより
このころ、ショパンはこの協奏曲を演奏会のレパートリーとして、さまざまなコンサートで披露しました。ワルシャワを発つ前に開催したコンサートでも、演奏しています。
祖国の人々に別れを告げる演奏会を開いたのは10月11日だった。曲目は《ピアノ協奏曲》ホ短調、《ポーランド民謡による大幻想曲》などで、(中略)ティトゥスへの報告に、自分の演奏はもちろんのこと、オーケストラの音も、聴衆の様子、すべてがよくわかったとある。
——小坂裕子著 作曲家◎人と作品シリーズ『ショパン』(音楽之友社)41ページより
ウィーンやミュンヘン、そしてパリでのデビュー公演でもこの作品を演奏しましたが、あまりいい評価は得られず、ショパンは失望したそうです。さらにその後も酷評は続きます。
5月にはパリ音楽院ホールでのモスコヴァ侯爵主催の慈善演奏会に出演した。ここでショパンは《ピアノ協奏曲》ホ短調の第1楽章をオーケストラとともに演奏した。今回も前回と同様にピアノの音が小さすぎると批評され、さらにオーケストレーションが不十分だと批判された。
——小坂裕子著 作曲家◎人と作品シリーズ『ショパン』(音楽之友社)63ページより
今ではショパン国際ピアノコンクールのファイナルで演奏され、ショパンを象徴する作品のひとつにもなっている協奏曲ですが、当時はなかなか厳しい評価だったのですね。
ピアノ協奏曲第1番Op.11
作曲年代:1830年(ショパン20歳)
出版:1833年
献呈:Friedrich Kalkbrenner
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