3つの夜想曲Op.15――大切な友人のピアニスト、ヒラーに献呈
ショパンの作品を全曲聴いてみよう! ショパン自身がつけた作品番号順に聴くことで、ショパンの“設計図”が見えてきます。
東京・神楽坂にある音楽之友社を拠点に、Webマガジン「ONTOMO」の企画・取材・編集をしています。「音楽っていいなぁ、を毎日に。」を掲げ、やさしく・ふかく・おもしろ...
3つの夜想曲Op.15
作品15の3曲は1830年から1833年に作られ、献呈相手はパリ生活をはじめてまもなく友人になったピアニストのヒラーとなっている。そのせいだろうか、作品として内容的にも技術的にも高度なものとなっている。
——小坂裕子著 作曲家◎人と作品シリーズ『ショパン』(音楽之友社)190ページより
ショパンはフェルディナント・ヒラーとも友人になった。ヒラーはドイツ出身の作曲家でピアノ奏者だ。(中略)ヒラーがのちに語った思い出によると、ショパンとの友情は深いものがあり、会えないと寂しくなってショパンがレッスンを始める前に話をするために、朝、急いで会いに行くこともあったという。
——小坂裕子著 作曲家◎人と作品シリーズ『ショパン』(音楽之友社)57ページより
パリで出会った友人のヒラーに献呈された3つの夜想曲Op.15。ショパンはヒラーの紹介でメンデルスゾーンとも知り合うことになります。2人の深い友情、ほほえましいですね。
フランクフルト出身で、10歳にして初めて作曲、その後フンメルに師事しピアノの腕を磨く。1827年にはベートーヴェンにも面会している。1829~1836年にパリに滞在。親交を深め、ショパンとメンデルスゾーンをライン音楽祭に招待したこともあった。
またピアノ教師としてのショパンから3つの夜想曲Op.15を見ると、興味深いエピソードがあります。
弟子のなかには半年間《ノクターン》作品15の2をレッスンで毎回弾かされる人がいた。その弟子は師の評価を得たいと、レッスンになると前回ショパンが弾いてくれたように、かならず弾くことにしていた。すると「それだけがすべてではありませんよ」とまたまったく違った演奏をしてみせたという。
——小坂裕子著 作曲家◎人と作品シリーズ『ショパン』(音楽之友社)78ページより
ショパンはこの作品をレッスンで毎回、どのように演奏したのでしょうか。ぜひ想像しながら聴いてみてください。
3つの夜想曲 Op.15
作曲年代:1830~33年(ショパン20~23歳)
出版:1833年
献呈:Ferdinand Hiller
関連する記事
ランキング
- Daily
- Monthly
関連する記事
ランキング
- Daily
- Monthly