プレイリスト
2023.02.08
ただいまショパン第59回

3つのマズルカ Op.59――健康への不安、募る郷愁

ショパンの作品を全曲聴いてみよう! ショパン自身がつけた作品番号順に聴くことで、ショパンの“設計図”が見えてきます。

ONTOMO編集部
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東京・神楽坂にある音楽之友社を拠点に、Webマガジン「ONTOMO」の企画・取材・編集をしています。「音楽っていいなぁ、を毎日に。」を掲げ、やさしく・ふかく・おもしろ...

イラスト:本間ちひろ

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3つのマズルカ Op.59

1844年頃のショパンとサンドの関係は表面上は前と変わらず、手紙のやりとりにも気遣いが見られますが、ショパンとサンドの息子モーリスとの対立もあって、少しずつ不協和音が鳴り始めていたようです。

その要因のひとつがショパンの健康状態の悪化でした。体力がなく、咳も止まらず、それでもレッスンをするショパンを気遣うサンド。友人への手紙の行間には、看病疲れが漂います。

それでも1845年の6月には、毎年恒例の夏を過ごすため、ノアンに帰ってきました。

ショパンは家族に、田舎の生活は空気が良いがつまらない、ピアノはあまり弾きません、調子がはずれているのです。作曲も少ししかしません、1年前ルドヴィカがスリッパに刺繍をしていた部屋に入ると、心ははるか彼方、故郷のマゾフシェへ向かう、そんな思い出にひたりながら、《マズルカ》を作ったと書いた。

——小坂裕子著 作曲家◎人と作品シリーズ『ショパン』(音楽之友社)141ページより

このとき作曲されていたのが、本日の「3つのマズルカ Op.59」です。「作曲も少ししかしません」の言葉通り、1845年に作られた唯一のピアノ曲になりました。

出版にあたっては誰にも献呈されていませんが、第2曲のみ、1844年末に送られてきたメンデルスゾーンの手紙の「古い友人として、私の妻に短い曲を書いて送ってくれないか」というリクエストに応えて、「F.メンデルスゾーン=バルトルディ夫人を讃えて/F.ショパン/1845年10月8日 パリにて」という署名を入れた自筆譜を送っています。

作品紹介

3つのマズルカ Op.59

作曲年代:1845(ショパン35歳)

出版:1845年

献呈:Cécile Mendelssohn(第2曲のみ)

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