3つのワルツ Op.64(第6《子犬のワルツ》、7、8番)――別れの手紙
ショパンの作品を全曲聴いてみよう! ショパン自身がつけた作品番号順に聴くことで、ショパンの“設計図”が見えてきます。
東京・神楽坂にある音楽之友社を拠点に、Webマガジン「ONTOMO」の企画・取材・編集をしています。「音楽っていいなぁ、を毎日に。」を掲げ、やさしく・ふかく・おもしろ...
3つのワルツ Op.64
1846年から47年にかけて作曲された3つのワルツは、それぞれデルフィナ・ポトツカ夫人(第1番)、シャルロット・ド・ロスチャイルド男爵夫人(第2番)、カタジナ・ブラニツカ伯爵夫人(第3番)に献呈されています。
第1番は通称《子犬のワルツ》の名で愛されていますが、これはノアンで飼っていた子犬の動きをみて書かれたというエピソードからつけられました。
続く第2番は、パリに戻ってから作曲されました。
ワルツの華やかさよりも、そのリズムと音色にマズルカを感じさせ、悲しさを漂わせている。作曲されたころ、ショパン自身は予想だにしなかったのに、サンドから別れの手紙をもらうことになる。
——小坂裕子著 作曲家◎人と作品シリーズ『ショパン』(音楽之友社)188ページより
サンドの娘ソランジュの結婚を巡る不和が決定打でした。
元々結婚に反対していたショパンは結婚式にも招かれませんでしたが、ソランジュと娘婿クレサンジェがノアンで金銭を巡り、銃まで持ち出した騒動を起こすと、サンドは彼らと決別。泣きついてきたソランジュにショパンは同情的な態度を取り、サンドを非難しました。
このことがサンドには信じらせませんでした。1847年7月28日、ついにサンドは手紙を送ります。
「さようなら、わが友よ。病気から早く回復されますように。そうなるはずだと思っています(そう言える理由が私にはあるのですから)。神にこの奇妙な別れを感謝しましょう。9年間、どこにもないほどの友情で結ばれていたというのに。どうか時には、あなたのことをお知らせください。そのほかの人について、お知らせいただく必要はありません」
ショパンがこの手紙に返信することはありませんでした。
3つのワルツ Op.64
作曲年代:1846~1847(ショパン36~7歳)
出版:1847年
献呈:à Madame la Comtesse Delfina Potocka à Mme la Baronne Charlotte de Rothschild à Mlle la Comtesse Katarzyna Branicka
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