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2025.05.04
名曲解説100

30秒でわかるJ. S. バッハ:イタリア協奏曲

J. S. バッハ:イタリア協奏曲について30秒で丸わかり♪

寺西基之
寺西基之

1956年生まれ、上智大学文学部を卒業後、成城大学大学院で西洋音楽史を専攻し、修士課程を修了。大学院在学中より音楽評論活動を始め、CDライナー、演奏会プログラム、音楽...

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ヨハン・ゼバスティアン・バッハ(1685〜1750)のこの作品(正式な題は《イタリア趣味による協奏曲》)は、協奏曲と題されていながらも実はオーケストラを伴わないチェンバロ独奏曲です。バッハはバロック時代のさまざまな楽曲様式を別の楽器や形態のために応用していくことでバロック様式を総合していった巨匠で、この作品では当時のイタリアの協奏曲の様式をなんとたった1台のチェンバロで見事に具現化しています。

もともと彼は、若い時からイタリアの協奏曲様式を吸収するために、ヴィヴァルディなどの協奏曲を独奏用の鍵盤曲に編曲しており、そうした探求の最終的な成果がこの《イタリア協奏曲》といえるでしょう。

全体は、総奏(オーケストラ)部分と独奏部分が交替する当時の協奏曲に典型的な書法(リトルネッロ形式)をチェンバロひとつのみで巧みに実現した第1楽章、通奏低音上でソロが歌うといったアリア風の趣の緩徐楽章、再び総奏と独奏とのコントラストを生かしたプレストのフィナーレといった、当時のイタリアの協奏曲の定型だった急-緩-急の3楽章構成をとっています。チェンバロの代わりにピアノで演奏されることも多い名作です。

J. S. バッハ:イタリア協奏曲 へ長調 BWV971

作曲年: 不明(出版は1735年)

演奏時間: 約13分

編成: チェンバロ

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