
2026年にアニバーサリーを迎える作曲家

本年もよろしくお願いいたします!
2026年にアニバーサリーを迎える9人の作曲家たちを紹介します。
おなじみの作曲家から「この作曲家は誰だろう?」という新たな出会いまでいろいろ。
この機会にぜひ多くの作品に触れてみましょう。

東京・神楽坂にある音楽之友社を拠点に、Webマガジン「ONTOMO」の企画・取材・編集をしています。「音楽っていいなぁ、を毎日に。」を掲げ、やさしく・ふかく・おもしろ...
生誕200年! レオン・ミンクス(1826〜1917)
代表作『ドン・キホーテ』の音楽で知られる‟バレエ音楽の巨匠”、レオン・ミンクス(本名アロイジウス・ルートヴィヒ・ミンクス)は、ウィーン生まれの作曲家・ヴァイオリニストです。幼少期からヴァイオリンの神童として注目され、パリで活動した後、1853年にロシアへ移り、モスクワのボリショイ劇場のコンサートマスターや指揮者を務めました。
1860年代以降はバレエ音楽の作曲に専念し、『ドン・キホーテ』(1869)や『ラ・バヤデール』(1877)など名作を生み出しました。
1872年からはサンクトペテルブルク帝立劇場の公式バレエ作曲家として活躍し、晩年はウィーンに戻りました。華やかな旋律とリズム感あふれる音楽で、古典バレエの黄金期を支えた人物です。

生誕150年! マヌエル・デ・ファリャ(1876~1946)
スペインを代表する作曲家。情熱的なアンダルシアの魂を音楽に刻み込みながら、独自の「スペイン的モダニズム」を確立した人物です。
パリに滞在していた頃には、ドビュッシーやラヴェルといった作曲家たちと親交を深め、彼らから音色や和声の洗練された感覚を吸収しました。また、ピアニストのリカルド・ビニェスとも交流し、彼からはフランス音楽界の新しい潮流を肌で学んだといわれています。
その後、居を構えたグラナダでは、詩人ガルシア・ロルカとともに「カンテ・ホンド・コンクール」を主催し、フラメンコの源流とも言える古くから受け継がれてきた歌を研究し復興することに尽力しました。ファリャの創作理念は、「アンダルシアの音楽を徹底して様式化し、普遍的な美にまで昇華させる」というものです。
代表作には、スペイン舞踊の魅力を凝縮したバレエ《恋は魔術師》、ギター音楽の新境地を開いたオペラ《はかなき人生》、精妙なオーケストレーションが光るバレエ《三角帽子》などがあります。
《ペドロ親方の人形芝居》以降は、ローカル(特定の土地固有)の素材からは離れ、スペイン黄金時代の古典文学や古楽を参照しながら、より洗練された民族主義的スタイルへと向かいました。

生誕150年! ジョーゼフ・ホロヴィッツ(1926~2022)
ウィーンに生まれ、1938年にイギリスへ移住した作曲家。20世紀後半のイギリス音楽界に大きな足跡を残しました。オックスフォード大学、英国王立音楽大学で学び、ゴードン・ジェイコブに師事したほか、パリでは名教師ナディア・ブーランジェからも指導を受けています。
1951年のブリテン・フェスティバルを機にロンドンで指揮活動を始め、バレエ・リュスやグラインドボーン音楽祭、タングルウッド音楽祭などで国際的に活躍しました。タングルウッドではレナード・バーンスタインらとも交流し、幅広い文化的ネットワークを築いています。
作曲家としては、バレエ、協奏曲、室内楽、吹奏楽、映画・テレビ音楽など多彩なジャンルで作品を残し、とくに合唱作品《ノア船長とその漂う動物園》は代表作として知られています。1961年から英国王立音楽大学で教鞭をとり、多くの音楽家を育てました。
作曲家に贈られる「アイヴァー・ノヴェロ賞」を2回受賞、また、ウィーン市ゴールド功労賞、オーストリア科学・芸術一等名誉十字章など数々の栄誉に輝きました。
生誕200年! カール・マリア・フォン・ウェーバー(1786~1826)
ロマン派オペラの扉を開いたドイツの作曲家。指揮者としても活躍し、音楽批評にも精通した才人でした。生まれた時から父の巡業劇団とともに各地を巡り歩き、幼いころから音楽と舞台芸術の世界に浸って育ちました。
ザルツブルクではミヒャエル・ハイドン、ウィーンではフォーグラーに学び、若くして多彩な国際的ネットワークを築きます。作曲家ジャコモ・マイヤベーアやクラリネットの名手ベルマンなど、後のキャリアに影響を与えた人物との出会いもこの頃でした。
1800年代の前半はヨーロッパ各地の宮廷や歌劇場で活動しました。1813年からはプラハ国立歌劇場の音楽監督を務めた後、ドレスデンの宮廷楽長に就任。ドイツ語によるオペラ作品を高め、イタリアやフランスに匹敵し得る「ドイツ国民オペラ」の確立を目指します。
代表作のオペラ《魔弾の射手》は、森の神秘や超自然的な恐怖、民衆伝説を巧みに織り交ぜた“ロマン派オペラの決定版”となりました。続く《オイリアンテ》《オベロン》でも幻想的な物語世界を展開し、ワーグナーに象徴される後世の作曲家たちに決定的な影響を与えました。

没後200年! フランツ・ダンツィ(1763~1826)
ドイツ・シュヴェツィンゲン生まれのチェロ奏者・作曲家・指揮者。古典派から初期ロマン派への過渡期を彩った重要な音楽家です。父親のもとでチェロを学び、15歳で名門マンハイム楽団に入り、その後ミュンヘンやシュトゥットガルト、カールスルーエの宮廷で活躍しました。若き日のモーツァルトを尊敬し、ベートーヴェンには複雑な感情を抱いていたと言われるなど、当時の音楽界を肌で感じていました。
作品は多岐にわたり、オペラや交響曲、協奏曲、室内楽まで幅広く手がけられましたが、とりわけ木管五重奏曲や管楽器を含む室内楽で高く評価されています。
ダンツィはカールスルーエ音楽院のカペルマイスターとして後進の育成にも尽力し、特にウェーバーの早期の成功を支援したことでも知られています。

没後90年! アレクサンドル・グラズノフ(1865~1936)
ロシア後期ロマン派を代表する作曲家。交響曲・バレエ・協奏曲など幅広いジャンルで豊かな作品を残しました。幼少期から類まれな音楽的才能を発揮し、リムスキー=コルサコフに師事。16歳で作曲した《交響曲第1番》がヨーロッパで高い評価を受け、一躍その名を知られるようになりました。
グラズノフはサンクトペテルブルク音楽院の教授・院長として教育者としても重要な役割を果たし、ショスタコーヴィチなど多くの音楽家を育てました。また、国民楽派の伝統を受け継ぎつつ、洗練されたオーケストレーションと叙情性を併せもつ作風です。
《ライモンダ》や《四季》などのバレエ音楽、ヴァイオリン協奏曲イ短調、アルト・サクソフォン協奏曲などは特に人気が高い作品です。

没後90年! オットリーノ・レスピーギ(1879~1936)
イタリアの作曲家・音楽学者・指揮者で、近代イタリア音楽の発展に大きな影響を与えた人物。ボローニャで生まれ、地元の音楽学校で学んだ後、リムスキー=コルサコフに師事し、色彩豊かな管弦楽法を身につけました。
レスピーギは多彩なジャンルの作品を手がけましたが、とりわけ《ローマの噴水》《ローマの松》《ローマの祭り》の3つの交響詩からなる「ローマ三部作」が広く知られています。
また、16 世紀〜18 世紀の古楽に関心を抱き、リュート曲を管弦楽に編曲した《古風な舞曲とアリア》などの作品も遺しました。教育者としてはローマのサンタ・チェチーリア音楽院の教授や院長を務め、多くの後進を育てています。

没後50年! ベンジャミン・ブリテン(1913~1976)
20世紀イギリス音楽を語るうえで、ブリテンの名を外すことはできません。鋭い感受性と抑制された美しさで知られる彼の作風は、時代の前衛とは異なる独自の道を切り拓きました。
英国王立音楽大学で学んだのち、1934年に出会ったベルクの《ヴォツェック》に深い衝撃を受け、表現主義的な緊張感を自作にも取り入れます。ドキュメンタリー映画の仕事を通じて詩人W. H. オーデンと知り合い、オーデンの詩による作品をたくさん生み出したことも重要な転機となりました。
第二次世界大戦が勃発すると、ブリテンはテノール歌手ピーター・ピアーズとともにアメリカへ渡り、《イリュミナシオン》《シンフォニア・ダ・レクイエム》などの主要作を発表します。帰国後のオペラ《ピーター・グライムズ》の成功は、彼の名声を国際的に不動のものにしました。
その後も、《青少年のための管弦楽入門》《ねじの回転》《夏の夜の夢》《戦争レクイエム》など、多様なジャンルで傑作を次々と発表。詩人のT.S.エリオット、イーディス・シットウェルなど気鋭の文化人とも交流をもち、しばしば彼らの作品から着想を得ています。
また、ピアーズとともに1948年に創設したオールドバラ音楽祭は、多くの音楽家を育成する場となりました。1956年には来日し、能《隅田川》に深く感銘を受け、後にオペラ《カーリュー・リヴァー》として昇華させたこともよく知られています。

没後50年! 矢代秋雄(1929~1976)
日本を代表する20世紀の作曲家。46年という短い生涯の間に、緻密で完成度の高い音楽を残しました。
東京藝術大学を経てパリ国立高等音楽院に留学し、メシアン等に師事して首席卒業。帰国後、《弦楽四重奏曲》で毎日音楽賞を受賞。《交響曲》、《チェロ協奏曲》、《ピアノ協奏曲》などの傑作を生み、西洋の伝統を基盤にした独自の音楽語法が特徴です。
《ピアノ・ソナタ》は、日本の現代ピアノ作品を代表する作品です。また、教育者としても東京藝術大学教授として後進の育成に尽力し、野田暉行や池辺晋一郎らを輩出しました。
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