「ロンド第2番 ト長調」——20年、別曲として扱われた姉妹作品の片割れ
生誕250年にあたる2020年、ベートーヴェン研究の第一人者である平野昭さん監修のもと、1日1曲ベートーヴェン作品を作曲年順に紹介する日めくり企画!
仕事終わりや寝る前のひと時に、楽聖ベートーヴェンの成長・進化を感じましょう。
1792年、22歳のベートーヴェンは故郷ボンを離れ、音楽の中心地ウィーンに進出します。【天才ピアニスト時代】では、ピアニストとして活躍したウィーン初期に作曲された作品を紹介します。
東京・神楽坂にある音楽之友社を拠点に、Webマガジン「ONTOMO」の企画・取材・編集をしています。「音楽っていいなぁ、を毎日に。」を掲げ、やさしく・ふかく・おもしろ...
20年、別曲として扱われた姉妹作品の片割れ「ロンド第2番 ト長調」
Op.51は、現在でこそ慣用的に正規の作品番号として使われているが、本来は非正統な番号であった。
すでに紹介したロンド第1番 ハ長調Op.51-1は、1797年あるいは96年の作品で、1797年10月にアルタリア社から出版されたが、そのときには作品番号はなかった。
同様に、1798年の後半に作曲され、1802年9月にアルタリア社から初版出版された第2番のト長調も、作品番号なしでM.リヒノウスキー伯爵夫人ヘンリエッテに献呈されている。
その後も2曲は個別に出版され続けたが、1819年にF.ホフマイスター社が編纂した『ベートーヴェンの器楽作品目録』で、はじめて2つのロンドがOp.51としてまとめられたのである。
この全254小節に及ぶ作品は、きわめて特異な形式構成をとっている。即興曲風かつ幻想曲風であって、たぶんにポリフォニック(対位法的)な旋律の絡みが見られる。
解説:平野昭
「ロンド第1番 ハ長調」と姉妹作品として作曲されながら、20年のあいだ別の作品として出版されていたのですね。ユニークで、幻想的な雰囲気は共通しているようです。ぜひ、2曲続けて聴いてみましょう。
ロンド第2番 ト長調 op.51-2
作曲年代:1798年(ベートーヴェン28歳)
出版:1802年
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