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2020.04.29
おやすみベートーヴェン 第136夜【天才ピアニスト時代】

「サリエーリのオペラ《ファルスタッフ》の二重唱〈まさにそのとおり〉による10の変奏曲」——師への敬意を込めた変奏曲

生誕250年にあたる2020年、ベートーヴェン研究の第一人者である平野昭さん監修のもと、1日1曲ベートーヴェン作品を作曲年順に紹介する日めくり企画!
仕事終わりや寝る前のひと時に、楽聖ベートーヴェンの成長・進化を感じましょう。

1792年、22歳のベートーヴェンは故郷ボンを離れ、音楽の中心地ウィーンに進出します。【天才ピアニスト時代】では、ピアニストとして活躍したウィーン初期に作曲された作品を紹介します。

監修:平野昭
イラスト:本間ちひろ
編集協力:水上純奈

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師への敬意を込めた変奏曲「サリエーリのオペラ《ファルスタッフ》の二重唱〈まさにそのとおり〉による10の変奏曲」

95年ころまでにかなりの作品を作曲していたベートーヴェンであったが、モーツァルトとハイドンの音楽を最上のものとして愛好するウィーンで作曲家としての地位を築くには、交響曲やオペラに挑戦しなければならなかった。

ただ、ウィーンという特別な町を支配する歴代皇帝のイタリア趣味により、宮廷楽長の多くがイタリア人で占められた歴史もあって、イタリア・オペラに対する関心が非常に高かった。ベートーヴェンもこれには敏感で、おそらく1799年後半から1801年ころまで宮廷楽長のアントニオ・サリエーリ(1750〜1825)に就いてイタリア語歌曲の作曲法を学んでいる。サリエーリに対する敬意は(中略)99年2月に出版されたピアノ変奏曲《サリエーリのオペラ〈ファルスタッフ〉からの二重唱「まさにそのとおり」の主題による10の変奏曲》WoO73の作曲などに窺える。ちなみに、このサリエーリのオペラの初演は99年1月3日であるので、変奏曲はこの初演直後の数日で作曲されたことになる。

——平野昭著 作曲家◎人と作品シリーズ『ベートーヴェン』(音楽之友社)39、40ページより

ベートーヴェンが実際にサリエリに指導を受けていたのは、1800年から1802年頃の期間だったと言われています。サリエリの作品を変奏曲の主題にすることで敬意を示し、彼へのアプローチを図ったようです。原曲とともに、さまざまな姿に変奏されたこの作品をお聴きください。

作品紹介

「サリエーリのオペラ《ファルスタッフ》の二重唱〈まさにそのとおり〉による10の変奏曲」WoO73

作曲年代:1799年1月(ベートーヴェン28歳)

出版:1799年2月

ケグレヴィチ伯令嬢バルバラに献呈

平野昭著 作曲家◎人と作品シリーズ『ベートーヴェン』(音楽之友社)

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