「ロマンス ト長調」——ヴァイオリンとオーケストラのためのロマン派的な小品
生誕250年にあたる2020年、ベートーヴェン研究の第一人者である平野昭さん監修のもと、1日1曲ベートーヴェン作品を作曲年順に紹介する日めくり企画!
仕事終わりや寝る前のひと時に、楽聖ベートーヴェンの成長・進化を感じましょう。
1800年、30歳になったベートーヴェン。音楽の都ウィーンで着実に大作曲家としての地位を築きます。【作曲家デビュー・傑作の森】では、現代でもお馴染みの名作を連発。作曲家ベートーヴェンの躍進劇に、ご期待ください!
東京・神楽坂にある音楽之友社を拠点に、Webマガジン「ONTOMO」の企画・取材・編集をしています。「音楽っていいなぁ、を毎日に。」を掲げ、やさしく・ふかく・おもしろ...
ヴァイオリンとオーケストラのためのロマン派的な小品「ロマンス ト長調」
独奏ヴァイオリンとオーケストラのための美しい叙情的な小品。1800年から翌01年にかけての作品であり、同じ編成の「ロマンス ヘ長調」Op.50の2年後、1798年秋に作曲されている。しかし、こちらのト長調が先に出版されたため、Op.40と作品番号が若い。
スタイルは協奏曲風であるが、音楽内容は協奏的ではなく、オーケストラは徹底的にヴァイオリンを支え、伴奏する。楽譜にテンポの指示はないが、アダージョのアラ・ブレーヴェ(2分の2拍子)にふさわしい曲調である。重音奏法で演奏されるヴァイオリンの二声部は、賛美歌風の穏やかさをもつ。ロンド形式で主題は、繰り返されるたびに変化が加わっている。中間部で新しく現れるメロディは、まさにロマン派の小品を思わせる。
解説:平野昭
この曲のタイトル「ロマンス(ドイツ語でロマンツェ)」は、叙情的なメロディに主眼を置いた器楽曲に使われます。40年以上あとになって、ロマン派の作曲家シューマン夫妻が名作を残すことになるロマンスというジャンル。ヴァイオリンで歌われるベートーヴェンの美しい旋律も味わってみましょう。
「ロマンス ト長調」Op.40
作曲年代:1800年~01年(ベートーヴェン30〜31歳)
出版:1803年12月ホフマイスター&キューネル社=ビュロー・ド・ミュジック社(ウィーン)
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