「セレナーデ ニ長調」——フルート、ヴァイオリン、ヴィオラによる清々しい三重奏
生誕250年にあたる2020年、ベートーヴェン研究の第一人者である平野昭さん監修のもと、1日1曲ベートーヴェン作品を作曲年順に紹介する日めくり企画!
仕事終わりや寝る前のひと時に、楽聖ベートーヴェンの成長・進化を感じましょう。
1800年、30歳になったベートーヴェン。音楽の都ウィーンで着実に大作曲家としての地位を築きます。【作曲家デビュー・傑作の森】では、現代でもお馴染みの名作を連発。作曲家ベートーヴェンの躍進劇に、ご期待ください!
東京・神楽坂にある音楽之友社を拠点に、Webマガジン「ONTOMO」の企画・取材・編集をしています。「音楽っていいなぁ、を毎日に。」を掲げ、やさしく・ふかく・おもしろ...
フルート、ヴァイオリン、ヴィオラによる清々しい三重奏「セレナーデ ニ長調」
こんなに素敵なセレナーデをベートーヴェンが作曲していた、って知るだけでも楽しい。ベートーヴェンらしくないし、主題の動機労作もなく、伝統を一歩も出ていない、と19世紀から評価の低かった作品、ってホント?
1796/97年に作曲した同じニ長調の「セレナーデ」Op.8とはまったく違った表情があるのは、フルート、ヴァイオリンとヴィオラという極めてユニークな編成からだ。音色が明るい。夕方の音楽(セレナーデ)じゃなくて、朝の清々しさが漂うようだ。
入場音楽としての第1曲「エントラータ」の冒頭ではカッコウが4度で鳴き、これに応えるように小鳥たちがさえずっているかのようだ。メヌエットやスケルツォ風音楽、ポラッカ(ポルカ)など6つの楽章のあと退場音楽として「行進曲」で閉じる。1801年のある日、さらっと書き上げた曲か?
解説:平野昭
ベートーヴェンの、決して多くはない管楽器のための室内楽作品のひとつ。低音楽器が入らない、フルートとヴァイオリンとヴィオラという編成は、ほかにほとんど例のない組み合わせです。
革新的な作品が続くこの時期にあって、一服の清涼剤のような作品をお楽しみください。
「セレナーデ ニ長調」 Op.25
作曲年代:1801年(ベートーヴェン31歳)
出版:1802年春
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