「ピアノ三重奏曲 第5番 ニ長調《幽霊》」——副題の由来は謎?「マクベス」をイメージした説も
生誕250年にあたる2020年、ベートーヴェン研究の第一人者である平野昭さん監修のもと、1日1曲ベートーヴェン作品を作曲年順に紹介する日めくり企画!
仕事終わりや寝る前のひと時に、楽聖ベートーヴェンの成長・進化を感じましょう。
1800年、30歳になったベートーヴェン。音楽の都ウィーンで着実に大作曲家としての地位を築きます。【作曲家デビュー・傑作の森】では、現代でもお馴染みの名作を連発。作曲家ベートーヴェンの躍進劇に、ご期待ください!
東京・神楽坂にある音楽之友社を拠点に、Webマガジン「ONTOMO」の企画・取材・編集をしています。「音楽っていいなぁ、を毎日に。」を掲げ、やさしく・ふかく・おもしろ...
副題の由来は謎?「マクベス」をイメージした説も「ピアノ三重奏曲 第5番 ニ長調《幽霊》」
小山 それにしてもこの副題は面白いですね。第2楽章が由来とされています。第1楽章は完全に「幽霊」とは思えませんから……。
平野 いろいろな説がありますが、やはり第2楽章の曲想からきていると言えるでしょう。あくまで「言い伝え」ですが、ベートーヴェンがシェイクスピアの『マクベス』をオペラ化しようとしていて、そのイメージがここに表れているという説もあるのです。だから、これだけ悲劇的な曲想になっているのではないかと。資料的に実証するものはまったくないのですが。
——小山実稚恵、平野昭著『ベートーヴェンとピアノ 限りなき創造の高みへ』(音楽之友社)45〜47ページより
明日ご紹介する「ピアノ三重奏曲 第6番 変ホ長調」と2曲セットで、op.70という番号をもつこの作品。副題の由来となった第2楽章、みなさんの耳には「幽霊」に聴こえますか? それとも『マクベス』でしょうか。《運命》や《田園》と同じ、充実した時期に書かれた大作です。
「ピアノ三重奏曲 第5番 ニ長調《幽霊》」Op.70-1
作曲年代:1807年暮(ベートーヴェン37歳/38歳)
出版:1808年6月
「ベートーヴェンとピアノ」続巻 2020年6月27日発売!
関連する記事
ランキング
- Daily
- Monthly
関連する記事
ランキング
- Daily
- Monthly