《12のアイルランド歌曲集》——著名な詩人に歌詞を依頼した作品も
生誕250年にあたる2020年、ベートーヴェン研究の第一人者である平野昭さん監修のもと、1日1曲ベートーヴェン作品を作曲年順に紹介する日めくり企画!
仕事終わりや寝る前のひと時に、楽聖ベートーヴェンの成長・進化を感じましょう。
1800年、30歳になったベートーヴェン。音楽の都ウィーンで着実に大作曲家としての地位を築きます。【作曲家デビュー・傑作の森】では、現代でもお馴染みの名作を連発。作曲家ベートーヴェンの躍進劇に、ご期待ください!
東京・神楽坂にある音楽之友社を拠点に、Webマガジン「ONTOMO」の企画・取材・編集をしています。「音楽っていいなぁ、を毎日に。」を掲げ、やさしく・ふかく・おもしろ...
著名な詩人に歌詞を依頼した作品も 《12のアイルランド歌曲集》
1.小人の妖精たち
2.ああ、エリンの竪琴よ(第2作)
3.別れの歌
4.アイルランドっ子の胸は高鳴る
5.ああ、愛しのダーモット……
6.琥珀の酒を注げ
7.幸せな故郷ガリオンよ
8.まじめで分別くさいのはごめん(合唱付き)
9.ああ、あの素敵な紅鵜(ヒワ)だったなら(ニ重唱)
10.英雄は死すとも(ニ重唱)
11.異郷の兵士(ニ重唱)
12.彼は別れ際に約束した(ニ重唱)
第239夜《26のウェールズ歌曲集》で紹介したように、ベートーヴェンはジョージ・トムスンの依頼によって、民謡編曲に取り組んでいました。元スコットランド官吏のトムスンは、1790年ころから30年間にわたってイギリス各地の民謡を収集し、その旋律集を出版していました。
ベートーヴェンが依頼されたものは、ピアノだけの伴奏でも可能であり、またヴァイオリンとチェロを加えたピアノ三重奏に夜伴奏もできる民謡編曲であった。一方トムスンはウォルター・スコットやジョージ・ゴードン・バイロン、ウィリアム・スミスさらにはロバート・バーンズといった当時のイギリスの著名な詩人たちに民謡風の詩の創作を依頼し、編曲された民謡旋律にあとからそうした詩をつけることもあった。
——平野昭著 作曲家◎人と作品シリーズ『ベートーヴェン』(音楽之友社)265ページより
曲によっては、先にベートーヴェンが編曲して、あとから著名な詩人による歌詞をつけたものもあるのですね。今日紹介している作品では、第2、5、6、8、9、10、12曲がウィリアム・スミスによる詩です。
《12のアイルランド歌曲集》WoO154
作曲年代:1812~13年(ベートーヴェン 39〜43歳)
出版:1816年(第2、7曲なし)、1855年(全曲)
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