「11のバガテル」——甥が師事したピアノ教師の教本のために作曲
生誕250年にあたる2020年、ベートーヴェン研究の第一人者である平野昭さん監修のもと、1日1曲ベートーヴェン作品を作曲年順に紹介する日めくり企画!
仕事終わりや寝る前のひと時に、楽聖ベートーヴェンの成長・進化を感じましょう。
1800年、30歳になったベートーヴェン。音楽の都ウィーンで着実に大作曲家としての地位を築きます。【作曲家デビュー・傑作の森】では、現代でもお馴染みの名作を連発。作曲家ベートーヴェンの躍進劇に、ご期待ください!
東京・神楽坂にある音楽之友社を拠点に、Webマガジン「ONTOMO」の企画・取材・編集をしています。「音楽っていいなぁ、を毎日に。」を掲げ、やさしく・ふかく・おもしろ...
甥が師事したピアノ教師の教本のために作曲「11のバガテル」
ピアノのための小品を集めた「11のバガテル」の各曲は、作曲年代にばらつきがあります。「第1番」から「第5番」は1794年から1802年頃までに書かれたもの。「第6番」は単独で1822年11月に作曲されました。
「第7番」からの5曲は、1815年頃にベートーヴェンの甥カールにピアノを教えていた、フリードリヒ・シュタルケとの関わりから生まれました。
平野 彼(シュタルケ)は1819年から21年までの間に3部構成の『ウィーン・ピアノ教本』を出版しているのですが、その第3部にはウィーンの名だたる作曲家の作品が収められており、ベートーヴェンの作品も含まれています。彼はその教本にop.119の「第7番」以降の5曲を提供しているのです。
(中略)
舞曲や民謡調のメロディなど、「音楽をいかに表現するか」ということをかなり考えていたように思います。
——小山実稚恵、平野昭著『ベートーヴェンとピアノ 限りなき創造の高みへ』(音楽之友社)111,113ページより
同時期に作曲されたピアノ・ソナタ第30番との関連性も感じると、平野さんは続けています。
各曲はとても短いので、ベートーヴェンの後期ソナタへの入り口として弾いたり、聴いたりするのにも最適かもしれませんね。
ドイツのホルン奏者、ピアニスト。著書『ウィーン・ピアノ教本(ウィーンのピアノフォルテ楽派)』は3巻に及ぶ大作。
「11のバガテル」op.119
作曲年代:1820~22年(ベートーヴェン50〜52歳)
出版:1821/23年
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