「僕のことを想っていて」——作詞もベートーヴェン? 切ない気持ちが伝わる歌曲
生誕250年にあたる2020年、ベートーヴェン研究の第一人者である平野昭さん監修のもと、1日1曲ベートーヴェン作品を作曲年順に紹介する日めくり企画!
仕事終わりや寝る前のひと時に、楽聖ベートーヴェンの成長・進化を感じましょう。
48歳となったベートーヴェン。作品数自体は、これまでのハイペースが嘘のように少なくなります。しかし、そこに並ぶのは各ジャンルの最高峰と呼ばれる作品ばかり。楽聖の「最後の10年」とは、どんなものだったのでしょう。
東京・神楽坂にある音楽之友社を拠点に、Webマガジン「ONTOMO」の企画・取材・編集をしています。「音楽っていいなぁ、を毎日に。」を掲げ、やさしく・ふかく・おもしろ...
作詞もベートーヴェン? 切ない気持ちが伝わる歌曲 「僕のことを想っていて」
「デゲンケ・マイン! イッヒ・デンケ・ダイン! 僕のことを想っていて! 僕は君のことを想っている!」「ああ、ああ、別れることはつらい、別れるのはつらい、希望だけがつらさを和らげる! ああ、ああ!」
悲嘆のため息ばかりのこの詩の作者は不詳とされているが、ほぼ確実にベートーヴェン自身と思われる。1820年夏にウィーン近郊のメードリングで作曲された。
アンダンテ・コン・モート、変ホ長調、4分の3拍子。3行の詩。冒頭8小節が繰り返され、何度も同じ言葉が語られ、しみじみと気持ちが伝わってくる。後半8小節も繰り返し歌われ、最後にまたため息!
ルドルフ大公のための《ミサ・ソレムニス》作曲中、大公への作曲レッスン用の課題として作られたかもしれない。素朴だけど傑作だ。
解説: 平野昭
ベートーヴェン自身が書いたとされる詩から、彼の内面が切々と伝わってきますね。誰との別れをこんなに惜しんでいるのでしょうか。歌詞と音楽の両方から、このときのベートーヴェンの気持ちを想像してみましょう。
「僕のことを想っていて」WoO130
作曲年代:1819年1月14日(ベートーヴェン49歳)
出版:1844年4月
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