祝典劇《献堂式》序曲——杮落とし公演のために驚くべき速筆で作曲!
生誕250年にあたる2020年、ベートーヴェン研究の第一人者である平野昭さん監修のもと、1日1曲ベートーヴェン作品を作曲年順に紹介する日めくり企画!
仕事終わりや寝る前のひと時に、楽聖ベートーヴェンの成長・進化を感じましょう。
48歳となったベートーヴェン。作品数自体は、これまでのハイペースが嘘のように少なくなります。しかし、そこに並ぶのは各ジャンルの最高峰と呼ばれる作品ばかり。楽聖の「最後の10年」とは、どんなものだったのでしょう。
東京・神楽坂にある音楽之友社を拠点に、Webマガジン「ONTOMO」の企画・取材・編集をしています。「音楽っていいなぁ、を毎日に。」を掲げ、やさしく・ふかく・おもしろ...
杮落とし公演のために驚くべき速筆で作曲! 祝典劇《献堂式》序曲
(1822年)9月にベートーヴェンはカールを伴ってバーデンに湯治に出かけ、そこで旧知の劇作家で興行主でもあったカール・フリードリヒ・ヘンスラー(1761〜1825)と出会った。ヘンスラーは1821年から支配人を務めていたヨーゼフシュタット劇場を買い取り、全面改装して10月3日にリニューアル・オープンするということで、杮落とし公演用の祝典音楽をベートーヴェンに作曲依頼してきたのである。ベートーヴェンは旧作の《アテネの廃墟》の音楽を改訂し、新たにカール・マイズルのテキストによる合唱曲《献堂式》WoO98と序曲《献堂式》作品124を驚くべき速筆で作曲し、10月3日に祝典劇として初演する。
——平野昭著 作曲家◎人と作品シリーズ『ベートーヴェン』(音楽之友社)177ページより
昨日紹介した「祝典劇《アテネの廃墟》のための行進曲と合唱」と同じく、ヨーゼフシュタット劇場リニューアル・オープンの杮落とし公演のために準備された作品です。9月に知り合った支配人の依頼で10月3日の杮落とし公演で披露ということは、作曲期間は1ヶ月未満であったと考えられます。晩年ながら、創作意欲にあふれるベートーヴェンが垣間見られますね。
祝典劇《献堂式》序曲Op.124
作曲年代:1822年9月下旬(ベートーヴェン52歳)
出版:1825年12月
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