スケルツォ第2番 変ロ短調 Op.31――婚約破棄、ロンドンへの贅沢旅行
ショパンの作品を全曲聴いてみよう! ショパン自身がつけた作品番号順に聴くことで、ショパンの“設計図”が見えてきます。
東京・神楽坂にある音楽之友社を拠点に、Webマガジン「ONTOMO」の企画・取材・編集をしています。「音楽っていいなぁ、を毎日に。」を掲げ、やさしく・ふかく・おもしろ...
スケルツォ第2番 変ロ短調 Op.31
本日は「スケルツォ第2番 変ロ短調」。4曲あるスケルツォのなかでも取り上げられる機会が多い人気曲です。ショパン27歳、すでにサロンの花形として、多くのパトロンや崇拝者を得ていた1837年に作曲・出版されました。
第一主題はソット・ヴォーチェ(優しく歌うように)ではじまり、和音の強打を浮きあがらせてはじまるが、ここには抑圧された暗さはいっさいなく、パリのサロンの中心人物になっているショパンにふさわしく、大胆な華やかさにあふれている。
——小坂裕子著 作曲家◎人と作品シリーズ『ショパン』(音楽之友社)226ページより
1837年のショパンは年始にインフルエンザで寝込み、想いを寄せていたマリア・ヴォジンスカとの婚約破棄を決定的なものにしてしまいます。かねてからショパンの病弱ぶりを心配していたマリアの家族でしたが、パリに来ていたマリアの兄が床に伏せるショパンを見て、家族に報告。マリアから「さようなら」の手紙が届いたのです。前年から吐血を繰り返し、死亡説が流れるほどでしたから、マリアの家族の心配は仕方がなかったのかもしれません。
そんな失恋を払拭すべく、ショパンはパリを出て、友人のプレイエルと共にロンドンへ出かけます。音楽家としてではなく、貴族のように贅沢な旅がしたいのだと申し出たといいます。
貴族との婚約騒動、ロンドンへの贅沢なお忍び旅行。現代で言えばハリウッドのセレブさながらの生活だったのかもしれませんね。
スケルツォ第2番 変ロ短調 Op.31
作曲年代:1837(ショパン27歳)
出版:1837年
献呈:Mademoiselle la Comtesse Adèle de Fürstenstein
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