レポート
2026.09.30

サントリー音楽賞、佐藤俊介へ贈賞「出会いがあって今がある。新たなスタート地点」

第57回サントリー音楽賞の贈賞式に登壇した佐藤俊介(9月27日、サントリーホール ブルーローズ)

この記事をシェアする
Twiter
Facebook

9月29日、サントリーホール ブルーローズにて、第57回サントリー音楽賞を受賞した佐藤俊介(ヴァイオリン/指揮)と、第25回佐治敬三賞を受賞した「日野浩志郎新作音楽公演『Chronograffiti』」の贈賞式が行なわれた。

サントリー音楽賞は1969年の創設以来、毎年、その前年度においてわが国の洋楽文化の発展にもっとも顕著な功績のあった個人または団体を顕彰し、贈呈している。賞金は700万円。

贈賞理由には、「分断に歪み、混迷を深めるいまの時代において、芸術家にしかできないことをアクチュアルに示し続けている。楽しむだけではなく、思考を突き動かすためにこそ、音楽を。そうした佐藤のビジョンを照らし、クラシック音楽の未来の一翼を担うひとりとして、今後の歩みへの期待を示すもの」ということがあげられている。

ビーバー《ロザリオのソナタ》よりパッサカリアを演奏して喝采を浴びた後、贈賞式でスピーチを行なう佐藤俊介。
ヴァイオリニストであり、指揮者、室内楽奏者である佐藤俊介は、世界各地のピリオド楽器アンサンブルやシンフォニック・オーケストラを指揮し、ソリストとしても出演。2013~23年オランダ・バッハ協会のコンサートマスターを、18年からは音楽監督を兼務し、録音したJ.S.バッハのカンタータや器楽作品の数々は、同協会のYouTubeで見ることができる。2011年からはコンチェルト・ケルンのソリスト、指揮者、コンサートマスターを務め、2013年からアムステルダム音楽院の教授としてヒストリカル・ヴァイオリンを教えている

贈賞式に登壇した佐藤は、「たいへん光栄であると同時に、身の引き締まる思い。ブルーローズは特別な思い入れがある場所で、26年前の2000年、当時16歳だった私は日本で初めてのコンサートを行なうことになり、その会場の1つがここだった。

4歳から19歳までずっとアメリカに住んでいて、当時は日本語の敬語がうまく使えず、アンコールの曲名を伝えるのに、お客様に向かってタメ口で話してしまった(笑)。そんなデビュー当時のとんちんかんな私でさえ、何かのスタート地点に立っているという意識はあったが、まさか26年後にサントリー音楽賞の受賞者として、再びこの同じステージに上がらせていただくとは思っていなかった。

この26年間、多くの方に出会い、ご指導いただき、私の未熟さや失敗を寛容に受け入れてくださり、私の音楽家としての価値を信じてくださった。困難や迷いに遭遇した時もあったが、これらの方々一人ひとりのおかげで、今の自分がここにいることを考えると、今回の賞を受賞したのは自分だけではないということを痛感する。

本日の贈賞式も、今の私にとって新たなスタート地点であるような気がする。これからどんな経験をし、どんな出会いが待っているか、楽しみでならない。これまで私を導いてくださった先生方、共演してくださった音楽家の皆様、演奏の場を作り支えてくださった皆様、そして何より演奏会場で音楽を共にしてくださった聴衆の皆様に、心より感謝申し上げる」と述べた。

最新アルバム『BEE1H0VEN~ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ全集』が新レコード・アカデミー賞第1回大賞に輝き、2027年4月からは、東京交響楽団のクリエイティブ・パートナーを3年間務めることになった佐藤。今年5月からは、自身が創設したロマン派以降の音楽を主な対象とする古楽オーケストラ「Past Forward Ensemble」の演奏活動もスタートした。

「強い信念で周囲の音楽家を巻き込みながら、卓越した行動力で新しい音楽の潮流を作っていく。日本の次世代を担う音楽家たちに大きな影響を与え、これからますます存在感を発揮していく」(サントリー音楽財団代表理事 堤剛氏)と讃えられる佐藤が、今後ヴァイオリニストとして、指揮者として、ますます多く日本の聴衆の前に姿を現してくれることを願ってやまない。

ONTOMOの更新情報を1~2週間に1度まとめてお知らせします!

更新情報をSNSでチェック
ページのトップへ